【日本株週間展望】荒い、米政策や増税論議左右-売買低調に

8月第2週(12-16日)の日本株 は、レンジ相場の中で荒い値動きが予想される。夏季休暇シーズンで取 引に厚みが出にくいだけに、米国の金融政策や日本の消費税増税の論議 などによる投資家心理の振れが株価に影響を及ぼしそうだ。

大和住銀投信投資顧問の門司総一郎チーフストラテジストは、「米 国の量的緩和縮小時期をめぐる観測に一喜一憂し、夏休みの材料難の中 をボックス圏で推移するだろう」とみている。

第1週の日経平均株価は前の週に比べ5.9%安の1万3615円、 TOPIXは4.6%安の1140.91ポイントと2週ぶりに反落。米国株安や 為替の円高傾向が嫌気され、ゴム製品や精密機器など輸出関連、証券や 保険など金融株中心に東証1部全33業種が下げた。

米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和策の早期縮小観測 が高まっている。ダラス連銀のフィッシャー総裁は講演で、米金融当局 が月間850億ドルの債券購入を縮小させる時期は近づいていると指摘 し、シカゴ連銀のエバンス総裁も記者団との会合で、債券購入の縮小開 始を9月に決定することは「明確には排除しない」と発言した。

米国株の上値が重く、為替市場では株安によるリスク回避が意識さ れやすくなっており、第1週にドル・円相場は1ドル=95円台後半と6 月19日以来の円高水準に振れた。「量的緩和縮小は米当局が供給するマ ネーの量が減るだけだが、その後の休止や利上げが見えているため、余 剰資金が吸収されるとして特に株式市場が反対している」と、大和住銀 の門司氏は言う。

米小売統計、日本の4-6月GDP

米国では、13日に7月の小売売上高、15日に8月のフィラデルフィ ア連銀の製造業景況指数が発表予定。ブルームバーグが集計したエコノ ミスト予想によると、小売売上高は前月比0.3%増と前の月(0.4%増) と大きく変わらず、フィラデルフィア景況指数は13.0と前月(19.8)か ら低下するとみられている。

米金融政策と並び市場参加者が注視しているのが、12日に発表され る日本の4-6月の国内総生産(GDP)速報値だ。安倍晋三首相は、 来月9日に分かる同改定値の結果などを基に、現行5%の消費税率を来 年4月に8%に上げるかどうかを最終判断する見通し。今後の増税論議 を占う有力な手掛かりだけに、金融市場に影響を及ぼす可能性がある。 速報値のエコノミスト予想は平均で前期比年率3.6%成長と、3四半期 連続プラスの見込み。1-3月の成長率は4.1%だった。

「『成長』を計る一つのコンセンサスとみられる3%を割り込むよ うなら、当初計画より導入先送り議論が出てくる」と、みずほ信託銀行 の中野貴比呂シニアストラテジストは予想。そうなれば、株式市場や債 券市場にマイナス材料になると言う。ただ、「予想通り強めの数字が出 ても、景気下押しの悪材料と見る向きもあり、市場の見方が流動的で、 反応を読みづらい」とも話す。

野村証券の田村浩道チーフストラテジストらは、増税そのものは景 気を冷やすが、財政再建のための最重要政策である消費増税が予定通り 実行されない場合、日本は変わらないというアベノミクス全体に対する 悲観論につながる可能性がある、と警戒。もし延期された場合、 TOPIXは1000ポイント程度まで下落するとの見方を示した。

下値は限定、「靖国」で外交に焦点も

一方、7月以降の株価調整を踏まえ、下値は限定的とみる向きもな お多いようだ。三菱UFJ投信・株式運用部の小西一陽チーフファンド マネジャーは、「日経平均1万3000円台ではバリュエーションに割安感 がある」と分析。第2週の日米マクロ統計は総じて良いものが出てくる ほか、為替が1ドル=95円から100円の間で推移しており、業績面から 問題はなく、「ファンダメンタルズは良好で、株価の底堅さは確認でき るだろう」としている。

T&Dアセットマネジメントの山中清執行役員は、今の日本株は 「為替や消費税増税による成長への影響が見通しにくいことで、強気に なる段階ではない」としながらも、安倍政権の長期安定化による日本経 済の回復期待、米国景気の改善傾向から「下がったタイミングでは押し 目買いが良い」との姿勢だ。

国内外で投資家の夏季休暇入りが増えており、引き続き売買は低調 となる可能性が高く、ボラティリティ(変動性)は大きくなりそう。東 証1部の売買代金は5、6両日に、約2カ月ぶりに2日連続で2兆円を 割り込んだ。みずほ証券エクイティ調査部の三浦豊シニアテクニカルア ナリストは、「円高基調とあって現物株には買いが入っていない。参加 者が少なく、先物に振られやすい」とみる。

このほか海外では、14日にユーロ圏の4-6月GDP、米国で15日 に8月のニューヨーク連銀製造業景気指数、16日に7月の住宅着工件 数、国内では13日に6月の機械受注が発表される。

また、15日は終戦記念日で、日本の外交に焦点が当たる可能性もあ る。安倍晋三首相は6日の広島市内での会見で、靖国神社参拝について 「私が参拝するかしないかを答えることは控えたい」とし、対応を明ら かにしなかったと共同通信が報じた。首相が参拝すれば、中国などとの 外交問題に発展することも予想され、「経済全般に影響が出てくると見 られれば、波乱材料になる可能性は否定できない」と、みずほ信託の中 野氏は懸念を示している。

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