ソニーのゲーム事業、PS4投入でも赤字か-アベノミクス逆風

新ゲーム機「プレイステーション4 (PS4)」の投入で米ゲーム市場での巻き返しを狙うソニーだが、ア ベノミクスによる円安進行をきっかけに、ゲーム事業の収益性は悪化す る見通しだ。

ブルームバーグがまとめた74人のアナリストによる予想平均値で は、2014年3月までにドルは円に対して10%強含み、現状の1ドル=97 円前後から106円程度となる見通しだ。ソニーが1日に発表した今期 (2014年3月期)の業績予想は、100円前後を前提としている。

同社は先週、今期の売上高予想を上方修正したばかり。円安は、海 外における売り上げ比率が大きい同社の業績に総じて好影響を与える が、アジアでの生産比率が高いゲーム事業では、利益の圧迫要因とな る。エレクトロニクス事業の今期黒字化を至上命題とし、7年ぶりの PS新モデル導入を年末に予定する同社だが、ゲーム分野は今期、大幅 な損益悪化を見込んでいる。

エース経済研究所の安田秀樹アナリストは、ソニーのゲーム事業に ついて「100億円から200億円の赤字拡大はあり得る話」と指摘し、円安 がさらに進行すれば、より厳しい状況に追い込まれる可能性があるとい う。同研究所は先週、ソニーの今期営業利益予想を2450億円から2300億 円に引き下げている。

過去数年にわたる円高進行時、ソニーは製造拠点を海外に移すこと で、為替変動に左右されない事業体制の構築を進めていた。中国やアジ アにおける生産コストは、米ドル建て比率が高いため、円高下ではコス ト抑制につながった。

ローブ氏も関心

ソニーの加藤優代表執行役・最高財務責任者(CFO)は1日の決 算会見で「今回、為替の円安傾向へのシフトで、ゲーム事業の見込みを 修正した」と述べた。5月時点でのゲーム事業の利益予想はほぼブレー クイーブン(収支均衡)だったが、「為替の影響だけを見ると、収支均 衡を割ってくる」という。

1日の4-6月期(第1四半期)決算発表では、ソニーはデジタル カメラ、ビデオカメラ、パソコン、液晶テレビの販売台数見通しを下方 修正した一方、ゲーム機の販売見通しは据え置いた。北米と欧州で年末 商戦に向け発売予定のPS4については「万全の態勢を整え、ゲーム事 業のさらなる進化を目指す」としている。

前期に5年ぶりの最終黒字に転じたソニーの株価は、年初から2倍 強上昇しており、国内家電大手のパナソニック(64%上昇)やシャープ (32%上昇)の株価推移を上回っている。米資産家ダニエル・ローブ氏 が率いる投資ファンド、サード・ポイントがソニーのエンターテインメ ン部門の一部売却による上場を提案した5月からの上昇率は、5.8%。

ゲーム事業はローブ氏にとっても関心事の一つのようだ。1日夜の 投資家向け電話会議で、ローブ氏はPS4事業の収益見通しについての 質問をCFOに投げ掛けた。

価格で勝負

ゲーム部門は第1四半期に148億円の営業赤字を計上した。これに ついて加藤CFOは、PS4開発費の増加を要因の一つとして挙げた。 また、製造の外部委託などによりコストを抑制していると述べ、開発製 造投資が足かせとなって赤字が続いたPS3の二の舞にはならないとの 見通しを説明。PS4はPS3より「早く収益に貢献する」と述べた。

ソニーは6月、ロサンゼルスのゲーム見本市「E3」で家庭用ゲー ム機では7年ぶりの新モデルとなるPS4を初めて披露した。399ドル と価格をマイクロソフトの新ゲーム機「Xbox One」より100ド ル安く設定したことで、年末商戦はPS4に有利とみられている。

マイクロソフトの先月の発表によると、6月の「Xbox360」 の販売台数は14万台となり、同社は米国内での首位を30カ月連続で堅持 した。米調査会社NPDが7月19日に発表した資料によると、米国の6 月のビデオゲーム小売売上高(ハードウエアとソフトウエア、付属品) は前年同月比15%減の5億9330万ドル(約600億円)だった。

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