郵船:海洋開発が黒字転換、20年度は100億円に-新事業で生き残り

売上高で海運国内最大手の日本郵船 は、事業多様化の一環として取り組んでいる海洋開発事業が2013年度に 黒字に転換する見通しだ。2020年度に100億円規模の利益を目指す。こ のほど契約したブラジル沖での開発の他、将来は日本周辺での開発も見 込んでいる。今後活性化する分野への早期着手で成長につなげる。

郵船のエネルギー輸送事業責任者の長沢仁志専務が7日、ブルーム バーグ・ニュースのインタビューで明らかにした。長沢氏は、海洋開発 事業は初期投資もかさみこれまでは利益を生んでいないと前置きした上 で、13年度は「間違いなく黒字」と述べた。その上で「15年度に約50億 円、20年度に約100億円まで営業利益を拡大させる」との見通しを示し た。

11年度にスタートさせた新中期経営計画「More Than Shipping 2013」で、海運事業は新興国の台頭で価格競争に陥りがちだとし、海運 にとどまらず「プラスアルファ」の事業を展開して成長を継続する方針 を打ち出している。海洋開発はその一環だ。

長沢氏は「この世紀においてタンカーやドライバルクだけやってい ると会社の存続は難しい。長期安定型のビジネスを増やす形で事業ポー トフォリオを多様化しないと生き残れない」と指摘。「ポートフォリオ を徹底的に変えてゆく、その先兵として海洋開発事業がなることは間違 いない」と強調した。

3本の柱

郵船の海洋開発事業には3本の柱がある。まず08年に海底掘削のド リルシップの分野に参入。ドリルシップは12年に稼働を開始し、現在は 1隻だが稼働率ほぼ100%に迫る。その後、浮体式海洋石油・ガス生産 貯蔵積出設備(FPSO)とシャトルタンカーの2事業も始めた。

FPSOでは7月に、ブラジル国営石油会社からブラジル沖で2隻 の用船と操業を請け負う契約を締結したと発表。これで計3隻の契約を 獲得した。長沢氏は20年度の利益確保に関連して「稼働するためには17 年度までには決めておかねばならないだろうから今後4年間にプラス2 隻から3隻は確保できると見込んでいる」とした。

さらに、海底油田上にある施設から陸上基地までピストン輸送する ためのシャトルタンカー事業では、世界2位のシェアを持つノルウェー のクヌッツェン・エヌワイケイ・オフショア・タンカーズ社の50%の株 式を10年に取得し経営に参加した。同社はシャトルタンカー事業を展開 する子会社KNOT・オフショア・パートナーズ社を今年4月にニュー ヨーク証券取引所へ新規上場させている。

将来は一段の事業領域拡大も

長沢氏は海洋開発について「将来的にはチャンスがあれば探査の分 野にも絡んでゆきたい。もし資源危機に備え政府が海外から買うばかり でなく日本として取り組むと意思表示をした場合には、このような方法 が可能だと提案することもできるのではないか」との見方を示した。

事業領域の拡大には企業の買収・合併(M&A)も有力な選択のひ とつではあるとしたものの、「まだこの分野の事業を立ち上げて5年程 度。まずはガス、油田の海底開発をベースに知見を増やしながら収益基 盤をきっちりと整えることに注力したい」と述べた。

将来のエネルギーとして期待されている海底下表層のメタンハイド レートの産出試験が政府により今年行われた。長沢氏は「日本が本格的 に海底資源の採掘に取り組むことになった場合、われわれに一連の技術 があるとなると、将来的には郵船の海洋事業はスカイロケットのように 成長し中核事業になる可能性もある」と強調した。

政府はエネルギーや鉱物資源など海底資源開発のひとつとしてメタ ンハイドレートの生産を国家プロジェクトに据えて取り組む計画で、18 年度をめどに商業化を目指した採掘技術をまず確立する方針。20年代に は民間主導の商業生産プロジェクトの開始を目指す。

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