日銀会合は政策据え置き、量的・質的緩和の効果見極め-景気判断維持

日本銀行は8日開いた金融政策決定 会合で、政策方針の現状維持を全員一致で決定した。足元の景気につい ても「緩やかに回復しつつある」とした前月の判断を据え置いた。日銀 は当面、4月に打ち出した量的・質的金融緩和を着実に進め、その効果 を見極める構えだ。

会合では「マネタリーベースが年間約60兆-70兆円に相当するペー スで増加するよう金融市場調節を行う」方針を据え置いた。資産の買い 入れ額も、長期国債はじめ、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動 産投資信託(J-REIT)、コマーシャル・ペーパー(CP)、社債 などいずれも据え置いた。ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト26 人を対象に行った事前調査では、全員が現状維持を予想していた。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは結果発表 前、「景気は緩やかに回復している。輸出が増え、設備投資も増える方 向だ」とした上で、今回の金融政策決定会合について「日銀は戦力の逐 次投入をしないことを確約しているので、今回も全員一致で現状維持だ ろう」と予想していた。

日銀が7月に示した今年度の生鮮食品を除く消費者物価(コア CPI)前年比見通し(委員の中央値)は0.6%上昇。6月のコア CPIは0.4%上昇と1年2カ月ぶりにプラスだった。食料(除く酒 類)およびエネルギーを除く総合、いわゆるコアコアCPIは2月 の0.9%低下から6月は0.2%低下へ急速にマイナス幅を縮小している。

年内の追加緩和予想

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは当面の金融政 策について「CPIの上昇が始まり、追加緩和の可能性は低下したよう に見える」としながらも、「インフレ期待が醸成されると長期金利が上 昇圧力を受けるため、金利安定を目的に日銀はさらなる長期国債購入を 迫られる可能性がある」と指摘。年内に追加緩和があると予想する。

大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは「先行きの日銀の経済・ 物価見通しは下方修正含みだ」と指摘。最大のリスク要因は「中国にお ける金融バブルの崩壊だ。中国では580兆円程度の過剰融資が存在する と見られる」と指摘。10月末の「経済・物価情勢の展望(展望リポー ト)」発表以降のタイミングで「ETFを中心とするリスク資産買い取 り増などの追加金融緩和策が視野に入る可能性」があるとみる。

もっとも、年内の追加緩和予想は少数派になりつつある。エコノミ スト26人を対象とした調査では、追加緩和予想時期は年内が5人、来年 1-3月が6人、消費税引き上げ後の来年4-6月が9人と最多となっ た。来年7月以降、ないし追加緩和なしとの回答は6人だった。

正念場は来年4-6月

SMBC日興証券の岩下真理債券ストラテジストは「異次元緩和決 定から4カ月。その効果は株高、円安をもたらし、マインド改善が消費 増加をもたらした。コアCPIもプラスに転じ、滑り出しは好調だ」と 指摘。日銀は「よほどの大きなショックがない限り、2%の物価安定目 標達成に向けた好循環シナリオを語り期待に働き掛けよう。正念場は、 来年の春闘そして消費税引き上げ後の来年4-6月期だ」としている。

木内登英審議委員は前会合に続き、2%の物価安定目標の実現は 「中長期的に目指す」とした上で、量的・質的金融緩和を「2年間程度 の集中対応措置と位置付ける」提案を行ったが、8対1の反対多数で否 決された。日銀は4月4日の会合で、2年程度を念頭に置いて物価目標 をできるだけ早期に実現すると宣言。量的・質的金融緩和は物価目標を 安定的に持続するために「必要な時点まで継続する」と表明した。

黒田東彦総裁は決定会合終了後、午後3時半に定例記者会見を行 う。議事要旨は9月10日に公表される。決定会合や金融経済月報などの 予定は日銀がウェブサイトで公表している。

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