英中銀総裁:政策見通しに数値基準を連動-条件次第で解除も

イングランド銀行(英中央銀行)の カーニー総裁は7日、政策金利見通しに失業率を数値基準として結び付 ける方針を明らかにした。同中銀は前月、金融市場の利上げ観測は「正 当化されない」としており、こうした観測の抑制を図ったものだ。

具体的には失業率が7%を超える水準にとどまる限り、金融政策を 引き締める公算はまずないと総裁は説明。ただし、インフレ期待が抑え られなくなれば、フォワードガイダンス(時間軸政策)を解除する権限 があることも明らかにした。現行の政策金利は過去最低の0.5%。

3-5月期の英失業率は7.8%で、英中銀は少なくとも2016年7- 9月(第3四半期)まで7%を上回る水準にとどまると予想している。 これは向こう3年は政策変更がないことを示唆する。

スタンダード・チャータードの先進10カ国(G10)通貨戦略責任 者、ネッド・ランペルティン氏(ロンドン在勤)は「極めて弱い形態の フォワードガイダンスだ。あまりに多くの条件と解除事項を付帯してい る」とし、景気に「改善が見られた場合、市場の金利期待を早めに変え るために一段の努力が必要になるだろう」と語った。

英中銀は7%の失業率について、あくまで基準であって「引き金」 にはならないと説明。MPCが政策姿勢を見直す際に目安を与えるもの だと続けた。

中銀当局者らは必要となれば、資産購入プログラムの規模をさらに 拡大する準備があるとも表明。量的緩和(QE)を縮小する計画はな く、資産購入策で保有している3750億ポンド(約56兆4000億円)の国債 のうち、満期を迎える分について再投資する方針を示した。

新総裁の新戦略

先月の就任後初めて四半期経済見通しを公表したカーニー総裁は、 英経済は成長持続の「脱出速度に達していない」と言明。「失業率が数 値基準に達するまで、金融政策委員会(MPC)は資産購入の規模を縮 小しない意向だ」と語った。

キング前総裁の後任として7月1日に就任したカーニー総裁はその 数日後、政策スタンスをいつまで続けるか表明するフォワードガイダン スを実質導入。この日は数値基準を設ける新たな発表を行った。この新 戦略について英中銀は、短期金利が「時期尚早」に上昇するリスクを軽 減し、兆候が増す景気回復を万全にするためのものだと説明した。

条件付き

英中銀はフォワードガイダンスには適用を左右する条件があり、こ れには物価安定に関する2項目が含まれると説明。一つ目は、インフレ 率が18-24カ月以内に2%の目標を0.5ポイント上回りそうだとMPC が判断した場合。二つ目は中期的なインフレ期待が「もはや十分に抑制 されない」とMPCが見なすケース。三つ目は、現行の政策姿勢が「金 融安定に著しい脅威」となるとの判断を英中銀の金融行政委員会 (FPC)が下す場合だ。

英中銀は今年7-9月(第3四半期)の成長率を0.5%と予想。4 -6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)は速報値で前期比0.6% 増だった。通年の成長率見通しは2013年を1.5%、14年は2.7%にいずれ も上方修正した。5月時点ではそれぞれ1.2%と1.9%を見込んでいた

景気回復は「定着しつつあるようにみえる」ものの、GDPはあと 1年は危機前のピーク水準に戻らないと、英中銀は予測している。この ため、インフレ率を目標水準に通常よりも遅いペースで戻すことは適切 だと指摘した。

英中銀はインフレ率については段階的に低下し、15年10-12月ごろ に2%に達すると予想。この見通しは、政策金利が0.5%にとどまり、 QEが現行規模で維持されるとのシナリオに基づいている。

カーニー総裁は「景気回復を万全にするとともに、物価安定と金融 安定に対するリスクをしっかり抑制することがわれわれの狙いだ」と発 言した。

原題:Carney’s BOE Steer Struggles to Stem Rate-Increase Bets: Economy(抜粋)

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