自民・野田氏:精製能力の追加削減や再編を-石油業界の競争力強化で

自民党の石油流通問題議員連盟の 野田毅会長(自民党税調会長)は、ガソリンなど石油製品の過剰な供給 が流通段階にも影響を及ぼしていることから、石油元売り各社の製油所 の精製能力の追加削減やさらなる業界の再編を促すべきだとの考えを明 らかにした。

野田氏はブルームバーグ・ニュースのインタビューで「石油製品の 供給が多いから販売時に無理な売りさばき方になって安売りになる」と 指摘。地球温暖化対策で温室効果ガスの排出量の多い石油製品の需要が 減ったため、石油業界が「政策的な構造不況業種になっている」とし、 現行のエネルギー供給構造高度化法での取り組みが不十分なら「もう少 し見直してもいい」と、追加の製油所能力削減の重要性を強調した。

石油議連には126人の自民党国会議員が参加、石油の小売り販売分 野の支援制度や安売り問題、年金などについて議論している。メンバー には菅義偉官房長官や甘利明経済再生相も名を連ねている。

経済産業省は2010年、高度化法に基づき石油各社に対し、事実上の 能力削減につながる製油所の分解装置装備率の向上を求めた。この結 果、各社は期限となる今期末(14年3月末)に向けて製油所能力を段階 的に削減しており、10年1月時点で日量487万3424バレルだった国内の 原油処理能力は現在、441万4700バレルまで減少した。

さらにJX日鉱日石エネルギーが室蘭製油所(日量18万バレル) を、出光興産が徳山製油所(日量12万バレル)を来年3月末までに廃止 することを計画している。各社がなお余剰設備を抱えているために販売 競争が起こり、石油元売り自身の首を締める状況は続いている。最大手 JXエネルギーは、市場での製品価格と原油輸入価格の差であるマージ ンが悪化したために、4-6月期の石油製品事業の経常損失(在庫影響 除き)が257億円に悪化したと発表した。前年同期は174億円の赤字だっ た。

追加の規制強化必要

野田氏は、産業の競争力強化は減税など「アメ」となる措置だけで なく、「いつまでにこういうことをしなければ増税しますよという尻た たきがあってもいい」と一層の規制強化も必要だと話した。

そもそも野田氏が供給過剰を問題視した背景には、石油議連が小売 業者から上がる不満の声に耳を傾けたことがある。元売りや商社が余剰 製品を取引する業者間転売市場(業転市場)から独立系小売業者などに 流れる割安な「業転玉」と呼ばれる余剰品があり、石油各社が自社系列 の小売業者に卸す「系列玉」よりも割安で取引されているために小売価 格に格差が生まれている。

元売りは、自社が供給した製品の販売を系列の小売業者に対し義務 付けており、他社の製油所で精製された可能性のある業転玉を自社のブ ランドを掲げたガソリンスタンドで取り扱うことを禁じている。公正取 引委員会が7月にまとめた報告書によると、業転玉は系列玉に比べ1リ ットル当たり平均3.8円安く取引されている。業転玉の出荷元も石油元 売りであるにもかかわらず、系列の小売業者は割安な業転玉を取り扱え ないために値下げ競争で不利になることから不満を募らせていた。

政策的な対応求める

石油議連は6月に聞き取り調査の中間報告を発表。この中で問題の 本質は石油元売りの供給過剰体制により「余剰玉を川下に垂れ流してい ること」と指摘。その上で「供給過剰体制の是正と業界全体の構造改革 のための政策的対応を政府に強く求めていく」方針を示した。

野田氏は国内の需要減少が今後も継続する見込みであることから、 銀行や鉄鋼業界のような再編が石油業界にも必要だと話す。1984年末時 点には製油所を保有する国内の石油会社は17社あった。現在は8社まで 減っている。同氏は「消費量が減ってきているのだから、それに対応し てどうするかというのをやっていかないといけない」と強調した。

石油業界から起こる自律的な再編の動きを待っていると末端の小売 業者へのしわ寄せが続くことになることから、野田氏は経産省資源エネ ルギー庁が責任を持ってできるだけ早く経営統合など石油業界の再編を 促すべきだと話す。同氏は経産省に働き掛けて、今後は石油各社の経営 陣とも会い、この考えについて意見交換する考えだという。野田氏への インタビューは7月29日に行った。

経産省が6月にまとめた石油製品(電力向けのC重油を除く)の需 要予測によると、17年度までに年平均1.8%減少する見通し。自動車保 有台数の減少や燃費向上の影響を受けるガソリンは同1.7%減ると予想 されている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE