ヘッジファンドSAC社員、転職先模索-他社は採用に慎重

ヘッジファンド会社、SACキャピ タル・アドバイザーズが米当局によって起訴された4日後、創業者のス ティーブン・コーエン氏は自社オフィスを巡り歩き、どの組織の中にも 「腐ったリンゴ」はいるものだと説明して回った。

コーエン氏(57)は創業21年のSACが通常通り事業を続けられる と従業員を安心させようと努めたが、同社のポートフォリオマネジャー やアナリスト、トレーダーらは既に、友人や他のヘッジファンド、人材 あっせん会社に連絡を取り、来年の働き場所を確保しようとしていた。 SACが必要とする従業員数が来年には大幅に減ると予想したためだ。 社員から話を聞いた複数の関係者が明らかにした。

ヘッジファンド業界の採用が総じて低調な上に各社が評判へのダメ ージを懸念するため、SACの投資専門要員が新しい職を見つけるのは 容易ではなさそうだ。米当局はSACを「市場を欺く人間を引き寄せる 磁石そのもの」と呼んでいた。少なくとも1社の大手ヘッジファンド会 社、180億ドル(約1兆7500億円)を運用するミレニアム・マネジメン トは、SACから株式投資の専門職を雇う気はないと、同社の方針を知 る関係者2人が述べた。インサイダー取引の捜査が続いている中で、採 用した社員が訴追されるような事態になるのを恐れているためだ。

「応募者の履歴書にSACと書かれていれば、採用担当者は長く考 えるだろう」と、ヘッジファンドを対象とした人材あっせん・コンサル ティング会社のA-Lアソシエーツ(ニューヨーク)のジョン・カーリ ー社長は話した。採用を全く控えるということではないと付け加えた。

SAC出身者の採用を検討するヘッジファンド会社は限られてい る。各社の事情に詳しい複数の関係者によると、ブルークレスト・キャ ピタル・マネジメントやシタデル、バリャスニー・アセット・マネジメ ントなどが採用してもよいと考えている。ただ、SACから移籍を目指 す求職者らは厳しい身元調査の対象になり、採用決定までの時間も通常 より長くかかるだろうとあっせん業者らは述べている。

最高クラスの報酬

大半の従業員は少なくとも来年に入ってボーナスが支払われる時ま ではSACにとどまるだろうと、あっせん業者も従業員も話している。 SACのポートフォリオマネジャーらの報酬は業界の中でも最高クラス だ。自身が管理する資産で生み出した利益の15-20%が運用者の報酬に なるほか、コーエン氏のポートフォリオに寄与した投資アイデアに対し ても支払いを受ける。

コーエン氏はインサイダー取引の捜査が進む中で人材流出を防ぐた め、今年ボーナスを増額していた。4月時点の届け出資料によると、 SACの従業員数は世界で約1000人。そのうち400人程度が投資に携わ る専門家だ。

SACはインサイダー取引の罪で起訴された。コーエン氏個人は刑 事訴追されていないものの、従業員の監督を怠ったとして行政審問の対 象になっている。検察はまた、SACの資産没収の可能性にも言及して いる。サード・バービネンでSACの広報を担当するジョナサン・ガス サルター氏は無罪を主張し業務継続が可能との見通しを示した先月の発 表文以上のコメントを控えた。

イスラエル・イングランダー氏が率いるミレニアムやその他のファ ンドが心配するのは、検察が捜査継続を表明しており今後も新たな逮捕 者が出る恐れがあるためだと関係者は説明した。イングランダー氏は SACが抱える20のクオンツチームと13のマクロチームに所属するトレ ーダーについては採用を考えるかもしれないという。これらの戦略での 投資には違法な内部情報は必要ないからだ。

ケン・グリフィン氏のシタデルはSAC出身者の面接に抵抗はない ものの、現時点で積極的な採用は行っていないと関係者の1人が述べ た。

原題:Balyasny Said Open to Hiring SAC Alumni as Millennium Deterred(抜粋)

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