中国は日本の二の舞い避けられるか-債務急増に指導部が対応

中国では1990年代後半にアジア諸国 を危機に陥れ、失われた20年を日本にもたらしたような放漫融資によっ て、最高指導部が綿密な危機対応策の策定を迫られている。

ブルームバーグ・ニュースが7月24-31日に実施したエコノミスト 調査によると、回答者12人のうち半数は地方政府が抱える不良債権と企 業債務が中国の融資の伸びや経済成長に恐らく「重大な影響」を及ぼす と予想。中央政府は地方債市場の拡大に加え、債券を直接発行して借り 換えさせることを通じて、今後1年半以内に地方政府の不良債権に対処 するだろうと回答した。

JPモルガン・チェースによれば、日本の成長が90年代に崩れたの と同じような結末を中国が回避できるかどうかは、当局の債務返済能力 や政策転換能力にかかっている。改革戦略を策定している習近平国家主 席と李克強首相は、国務院が命じた公的債務の監査や世界銀行が支援す る都市化に関する研究から情報を得る可能性がある。

ソシエテ・ジェネラルの中国担当エコノミスト、姚煒氏(香港在 勤)は「債務比率は間違いなく危険な水準であり、疑いの余地はない」 と述べた上で、「この債務問題は今後数年間に中国の成長に対する著し い下向きの圧力になるリスクが高い」との見方を示した。同氏はブルー ムバーグが集計した中国の国内総生産(GDP)予想精度ランキングで 首位。

地方政府債務は2010年末以来、最大50%増加した可能性がある。ア ナリスト4人の予想によると、6月30日現在の借入残高は15兆-16兆元 (約240兆-256兆円)。中国国家審計署の試算では、地方政府の債務総 額は10年末時点で10兆7000億元。審計署は先月28日、国務院が公的債務 に関する全国規模の監査実施を命じたことを明らかにした。

日本やアジアとの類似点

JPモルガンのエコノミストは7月19日付のリポートで、現在の中 国と1980年代の日本には、広範な債務が経済規模の2倍近くに膨らんだ という共通点があると指摘。中国の債務残高の対国内総生産(GDP) 比率は2012年に187%と、2000年の105%から上昇。これに対し日本の同 比率は1990年に176%と、80年の127%から上昇していた。

同行のエコノミスト、グレース・エン氏(香港在勤)は、中国と日 本の類似点に関する投資家からの問い合わせが同リポートの作成を促し たと説明。「常識的かつ国際的な見地からすると、国家の債務残高比率 が急激に上昇すれば金融危機を招く確率は高まる」と指摘した。

一方、ゴールドマン・サックス・グループは1997-98年に起きたア ジア危機との類似点に注目。中国の債務残高の対GDP比率が2012年ま での5年間で56ポイント上昇したのに対し、タイではアジア危機前の5 年間に同比率が66ポイント、マレーシアでは40ポイント上昇したと、先 月26日付のリポートで説明した。

国際通貨基金(IMF)は先月公表した中国経済に関する年次報告 書で、中国の債務残高の国民1人当たりのGDP比率は世界で最も高い 水準にあると解説。ただ、IMF中国事務所のムルタザ・サイード氏は 「経済の衰弱」で破裂した不動産と株式バブルも抱えていた日本と中国 を比較するのは「見当違いだ」と指摘。「中国は依然として発展の初期 段階にあり、正しい政策と改革で数年にわたり比較的力強い成長を期待 できる」と述べた。

デトロイトの警告

海通国際証券集団のチーフエコノミスト、胡一凡氏(香港在勤) は、米ミシガン州デトロイト市による先月の米連邦破産法9条の適用申 請が「中国の多くの地方政府に警鐘を鳴らした」との見方を示した。

中国人民銀行(中央銀行)で貨幣政策委員を務めた余永定氏は7 月31日に北京で開かれたフォーラムで、「国有資産の規模を考えれば」 状況は「実際にはさほど恐ろしいものではない」としながらも、政策当 局は危機のリスクを「見過ごしてはならない」と指摘。「債務返済に対 する地方政府の姿勢や能力に疑念を持っている」とも語った。余氏は国 有資産の価値を100兆元と、GDPのほぼ2倍と試算している。

原題:China Debt Surge Pressures Xi-Li to Avert Japan-Like Lost Decade(抜粋)

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