【コラム】次期FRB議長候補2人を比べてみれば-ペセック

ローレンス・サマーズ氏は1999年、 米タイム誌の表紙をアラン・グリーンスパン、ロバート・ルービン両氏 と共に飾った。「世界を救う委員会」と名付けられた3人は、アジア金 融危機への自由市場的解決が評価された。

見当違いで高圧的な彼らの政策の後遺症にまだ悩んでいたアジアに とっては、タイム誌の選択は奇妙だった。アジアが今、バーナンキ米連 邦準備制度理事会(FRB)議長の後任としてサマーズ氏よりもイエレ ンFRB副議長を好む理由の1つがこれだ。

2001-03年にフィリピン財務相を務めたホセ・カマチョ氏は「個人 的には継続性と予測可能性を重視している。イエレン氏が望ましいのは このためだ」と述べ、「世界には既に心配すべき不確実要因が十分にあ る」と指摘する。

その最たるものは来年1月31日に任期切れとなるバーナンキ議長の 後継者が量的緩和(QE)の実験をいつ終わらせるかだ。例えば、韓国 銀行(中央銀行)の金仲秀総裁は1994年のグリーンスパンFRB議長 (当時)による突然の利上げが引き起こしたような債券市場の売りを懸 念する。当時はドルの急騰がペッグ(連動)制を維持しようとする各国 の重しになり、97年のアジア危機の遠因となった。

バーナンキ議長の金融緩和にはアジアは初め憤慨した。ホットマネ ーが域内に流入し資産バブルをあおったためだ。しかし今は、不手際な 出口戦略の方を心配している。QEの効果について疑義を呈したことの あるサマーズ氏は、他のFRB議長候補より迅速なペースで政策を巻き 戻す可能性がある。コメルツ銀行のシンガポール在勤エコノミスト、チ ャーリー・レイ氏らがイエレン氏を支持するのはこのためだ。

世界の中銀

「アジアや他の新興市場にとって難しい状況ではないか。米国がリ セッション(景気後退)に陥ればアジアは苦しむが、米国が回復すると きも別の一連の問題に直面する」とレイ氏は分析。そうした環境の中で 「アジアはFRBに、継続性と漸進的アプローチ、過度のボラティリテ ィを避ける強い意志を求める」と話す。

オバマ米大統領がなぜアジアの意見に耳を貸す必要があるかという と、1つにはFRBが今や世界の中央銀行だからだ。アジアを旅してい ても、込み入ったネットワークである世界経済がバーナンキ議長によっ てコントロールされていることが分かる。ソウルでもシンガポールで も、投資家は自国の中銀よりもFRBの動向を注視する。さらに、私が 先週のコラムで指摘した通り、アジアは今や米国の主要な債権銀行団 だ。アジアが米国への信頼を失いドルを売れば、FRBの政策運営も、 オバマ大統領が米国の巨額債務をうまく管理することも難しくなる。

イエレン氏もサマーズ氏も次期FRB議長として十分な資格があ る。しかし、公平であるかどうかは別にして、米国に金を貸しているア ジアは、イエレン氏の方を好ましく感じている。次期議長の人選をめぐ る数多くの発言の中で、アジアの声はオバマ大統領が耳を傾けたいと考 える1つかもしれない。 (ウィリアム・ペセック)

(ペセック氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。コラ ムの内容は同氏自身の見解です)

原題:Asia Wants Yellen at Fed, and U.S. Should Listen: William Pesek(抜粋)

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