外資系証券10社、日本で黒字拡大-アベノミクスや大幅人員削減

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米バンク・オブ・アメリカ傘下のメ リルリンチ日本証券をはじめ、日本で業務を営む外資系証券10社の2013 年3月期の純利益が前年同期の5倍強に拡大したことが明らかになっ た。アベノミクスを背景とした証券市場の活性化に加え、大規模な人員 削減による効果が表れた。

外資系証券10社の日本事業の純損益合計額は328億円の黒字(前年 同期は57億円の黒字)に急拡大した。ブルームバーグ・ニュースが各社 の開示資料をもとに集計した。また、10社は1年間で従業員総数を1000 人以上減らしており、前期の削減率は13%と12年3月期の7.8%から、 さらに拡大していることも分かった。

メリルリンチ、ゴールドマン・サックス、ドイツ銀行などの外資系 証券は現在アベノミクスの下で株式や債券のトレーディング業務などで 収益を拡大している。また日本企業による積極的な資金調達や国内外で のM&A(企業の合併・買収)に伴い投資銀行業務は引き続き好調だ。 こうした中、人員強化はエクイティ業務など一部にとどまっており、大 幅拡大の動きは見せていない。

金融機関向けコンサルティングのエグゼクティブ・サーチ・パート ナーズの小溝勝信代表取締役(68)は、外資系証券の日本での業務につ いて、「ビジネス環境は引き続き活性化しており非常にいい。人員削減 もあり、その後忙しい状況が続いている」と述べた。また「外資は株式 引き受けやM&A助言などでグローバルなプレゼンスをもっと生かすべ きだ」と指摘し、さらなる収益拡大の余地があるとの見方を示した。

人員削減

バンク・オブ・アメリカ(BOA)、ドイツ銀、ゴールドマン、シ ティグループ、モルガン・スタンレー、JPモルガン、バークレイズ、 UBS、BNPパリバ、クレディ・スイスで日本の証券業務に携わる従 業員は3月末の合計で6551人と1年前の7564人から大きく減少した。

こうした中で、BOA傘下のメリルリンチ日本の前期純利益は448 億円とその前の期の51億円から9倍近くに拡大し、外資系証券10社で最 大となった。トレーディング益が68%増加したほか、投資銀行部門の手 数料は国内M&Aの取扱い案件の増加に伴い58%増えた。

メリルリンチの従業員数は3月末時点で842人と1年前の1028人か ら縮小し、人件費は23%減少した。また、同社は合弁で手掛けていた富 裕層向け事業の株式を三菱UFJフィナンシャル・グループに売却、前 期はこれに伴って約350億円の特別利益を計上した。

メリルリンチの楠瀬丈生投資銀行部門長はブルームバーグ・ニュー スの取材に対し、「円安傾向とともにマーケットの回復を受け、目先の 企業業績が回復している」と述べた。また、「中長期的に安定した回復 には不透明感があるが、日本企業の成長の中心が海外にある点に疑いは なく、企業経営者の海外企業の買収、資産取得に対する意欲は高水準で 推移する」と見通した。

ゴールドマン、モルガンS

ゴールドマンの開示資料によれば、同社の日本での証券事業の収益 は5%増の777億円。13年は日本国内での株式引き受け業務で、野村ホ ールディングス、大和証券グループ本社に続いて3位につけている。

ゴールドマン・サックス証券の持田昌典社長は、ブルームバーグ・ ニュースに対し、「昨年末からの企業の資金調達ニーズの高まりや顧客 によるトレーディングが活発化したことを背景に、日本でのビジネスは 全般に堅調だ」と述べた。国内の証券市場ではデフレ脱却を掲げる安倍 政権発足前の昨秋以降、活発な取引が続いている。

モルガン・スタンレーMUFG証券の収益は1062億円と前の期 の1215億円から減少したものの、外国証券10社の中で最大となった。一 方で、JPモルガンの純損益は47億円と前の期の88億円の損失から黒字 転換した。

欧州系

ドイツ証券の純利益は64億円と39%増加した。日本の従業員数 は834人から630人に減少している。バークレイズの純利益は5.5%増 の58億円となった。

ドイツ証の本間民夫営業本部長は、「今年前半、市場部門の全ての ビジネスで目標としていた水準を上回る業績を上げている。特に株式部 門が堅調だった」と述べた。

一方、UBS、クレディS、BNPパリバの日本の証券事業は前期 赤字を計上している。

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