【今週の債券】長期金利0.8%の下限試す展開、投資家のキャリー買いで

今週の債券市場で長期金利は0.8% 台で低下余地を試す展開が予想されている。日本銀行による長期国債買 い入れオペに加えて、投資家から金利収益(キャリー)を確保するため の買いが長期金利を押し下げるとの見方が出ている。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが2日に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジは 全体で0.76%-0.85%となった。前週末終値は0.815%。

前週の長期金利は、好調な米経済指標を受けて米10年国債利回りが 上昇基調となったことにつれて水準を切り上げ、2日には2週間ぶり高 水準の0.825%を付けた。しかし、前週末に発表された7月の米雇用統 計では雇用者の増加幅が市場予想を下回り、量的緩和策の早期縮小観測 がやや後退。米10年国債利回りは大幅低下に転じている。

SMBC日興証券の末沢豪謙チーフ債券ストラテジストは、内外で 重要イベントが9月まで見当たらない中、「投資家のキャリー取りのニ ーズが表面化してくる」と指摘。「日銀長期国債買いオペの累積効果も 相まって、需給主導の動きが強まる」と予想する。

日銀は7、8日の2日間の日程で金融政策決定会合を開く。足元で 景気が改善を続けていることに加え、株高基調や長期金利は落ち着いた 推移となっており、金融政策の現状維持が決まる見込みだ。野村証券の 松沢中チーフストラテジストは、日銀会合について、「当分は経済が見 通し通りに回復していると判断し、追加緩和を見送ろう」と指摘した。

30年債入札

9日に30年利付国債(8月債)の価格競争入札が実施される。発行 額は5000億円程度。前回の39回債と統合するリオープン発行となり、表 面利率(クーポン)は1.9%となる。

新発30年債利回りは足元で1.8%台前半を中心とするレンジで推移 し、前週末は1.835%で引けた。三井住友アセットマネジメントの浜崎 優シニアストラテジストは、30年債入札について、「現行の金利水準は 高くもなく低くもないため、問題ないと思う。最終投資家を中心に需要 があるだろう」と予想する。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は9月物、10年国債利回りは329回債。

◎岡三アセット・マネジメントの山田聡債券運用部長

先物9月物143円00銭-143円70銭

10年国債利回り=0.78-0.85%

「消去法的な需要が国内金利高を抑制しそう。実際、大手銀行など は4月以降に国債を売却したものの、貸し出しは大きく伸びていない状 況のため、キャリー収益を狙って一定の残高復元の可能性がある。9日 の30年債入札では生保の需要が見込める。ただ、将来のデフレ脱却が意 識される中での買いには慎重とならざるを得ず、取引が細る中、もみ合 いが続くと予想している」

◎三井住友アセットマネジメントの浜崎優シニアストラテジスト

先物9月物142円90銭-143円60銭

10年国債利回り=0.78%-0.85%

「国内金利はそれほど上昇しない感じ。債券相場のボラティリティ が低下しているので、機関投資家からの買いが入りやすい。また、9月 中間期末を意識したキャリー狙いの買いも入る。週初は多少の動きが出 ても、大きな材料が少なく、徐々に落ち着いてくる展開。長期金利の上 限は0.8%台前半が良いところで0.9%を超える可能性は低い」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物9月物143円00銭-143円90銭

10年国債利回り=0.76%-0.85%

「底堅い展開。米国の金利が上昇しても国内の金利は落ち着いた動 きが続きそう。国内投資家は5-6月に円債を売り尽くした感じ。すで に持ち高を圧縮しているので、最近は買い手もいないが売り手もいな い。日銀が国債を買い入れて市中残高が減るため需給面で崩れにくい。 日銀決定会合は株価がしっかりしており、何もやらないとみている」

◎大和証券債券調査グループの山本徹チーフストラテジスト

先物9月物143円10銭-143円50銭

10年国債利回り=0.79%-0.83%

「底堅い推移か。押し目買いや日銀の買い入れに下値が支えられ、 引き続き値幅は小さいだろう。米国で量的緩和第3弾の縮小の時期につ いて9月か12月に見方が振れることはあっても、ゼロ金利の時間軸が揺 らぐことはない。米国の10年金利の上昇は2年金利とのスプレッドから 考えてもせいぜい2.8%まで。米債との相関が落ちている現状では影響 も限られる」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎 Editors: 山中英典, 青木 勝

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE