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【今週の債券】長期金利0.8%台の上限探る、米金利上昇や国債入札警戒

今週の債券市場で長期金利は0.8% 台の上昇余地を探る展開が予想されている。米国の10年国債利回りの上 昇基調や週内に2回実施される国債入札への警戒感から金利上昇圧力が 掛かりやすいためだ。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが6月28日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レン ジは全体で0.80%-0.90%となった。前週末終値は0.855%。

前週の長期金利は序盤の24、25日に0.89%まで上昇した。米10年国 債利回りが米量的緩和策の早期縮小観測を背景に2.66%と約2年ぶりの 高水準を付けた影響を受けた。その後は買いが優勢となり、28日には一 時0.825%と20日以来の水準まで下げた。しかし、前週末の米10年金利 はリッチモンド連銀のラッカー総裁の発言を受けて再び上昇した。

ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、米欧債相場のボ ラティリティが高いことから、「国内投資家は金利上昇局面で売りに回 っている」と指摘。ただ、「米金利は量的緩和縮小をほぼ織り込みつつ あり、米金利が落ち着いてくれば、円債で残高を積み上げられていない ことに焦りを感じる投資家も出始める」とも言う。

今後の米金融政策の行方を見極める上で、1日の6月の供給管理協 会(ISM)製造業景況指数や5日の米雇用統計などが注目だ。ブルー ムバーグ・ニュースの予測調査によると、ISM景況指数は50.5、雇用 統計の非農業部門雇用者数は16万5000人増加する見通し。

需給面では、2日に10年利付国債の入札が実施される。表面利率( クーポン)は前回債と同じ0.8%が見込まれている。発行額は2兆4000 億円程度。一方、4日には30年利付国債入札が行われる。今回の同入札 については39回債のリオープン発行となり、クーポンは1.9%。発行額 は6000億円程度となる。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は9月物、10年国債利回りは329回債。

◎RBS証券の福永顕人チーフ債券ストラテジスト

先物9月物142円00銭-142円50銭

10年国債利回り=0.85%-0.90%

「米国の長期金利が連邦公開市場委員会(FOMC)前と後で変わ っているのに対して、円債のレンジがあまり変わっていないことに違和 感があり、若干水準を切り上げる展開か。日本の長期金利は0.8%に接 近する局面では戻り売りが出そうだ。流動性がない中で、現行水準で10 年債、30年債の入札を迎えることには需給面で懸念もある。金利水準次 第だが、事前の調整なしでは入札に警戒感が出るのではないか」

◎大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥債券運用部長

先物9月物142円20銭-143円00銭

10年国債利回り=0.81%-0.88%

「金利上昇・低下の両サイドの材料が交錯しており、長期金利 は0.8%台での推移が続く。米連邦準備制度理事会(FRB)当局者の 発言などで米長期金利は上昇一服し、国内債にもサポート要因だ。10年 債と30年債の入札は、相場変動がやや落ち着き、10年債利回りの0.9% 付近では相応の需要、30年債も金利上昇時の買いを見込む。一方、週末 に米雇用統計発表を控えて、各市場とも新規取引には慎重スタンス」

◎パインブリッジ・インベストメンツの松川忠債券運用部長

先物9月物142円00銭-143円10銭

10年国債利回り=0.80%-0.90%

「米雇用統計に向けて神経質な展開が見込まれる。米指標が弱い数 字であれば、FRBによる金融緩和策からの出口が先送りになるだろ う。半年先にかけて成長率が加速していく半面、インフレ率は2%に達 しないとの見通しは、金融引き締めを開始するには説得力がない。世界 経済は、発展途上国を中心に成長率見通しが下方修正される方向。米指 標次第では、最終的な緩和縮小開始は先になるとみている」

--取材協力:赤間信行. Editors: 山中英典, 崎浜秀磨

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