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円全面安、世界株高で対ドル一時99円台-投信設定で売りの指摘

東京外国為替市場では円が全面安。 世界的な株高を背景に投資家のリスク許容度の改善が意識され、円を売 る動きが強まった。

ドル・円相場は1ドル=98円台前半から一時99円02銭まで円安が進 行。月末・期末の需給や投信設定に絡んだ円売りも意識される中、今 月11日以来の円安値を更新した。午後4時現在は98円86銭前後。

IG証券の石川順一マーケットアナリストは、円相場は日米株との 相関が強く、欧米株の堅調さに加えて、日本株も堅調さを取り戻しつつ あるということで円安が進みやすくなっていると指摘。「今は円安基調 を取り戻しつつあるかどうかの分岐点に来ていると思う」と話した。

28日の東京株式相場は大幅続伸し、TOPIX、日経平均株価とも に約1カ月ぶり高値を回復。アジア株もほぼ全面高となった。

ユーロ・円相場は1ユーロ=128円台前半から一時129円37銭と1週 間ぶりの水準まで円安が進行。クレディ・アグリコル銀行外国為替部の 斎藤裕司ディレクターは、「きょうは20数本の投信設定が予定されてお り、それに絡んだ円売りが出ている可能性がある」と話していた。

また、ユーロ・円につられる形でユーロ・ドル相場は1ユーロ =1.30ドル台前半から一時1.3076ドルまでユーロ高が進行。その後、欧 州市場に向けては1.30ドル半ばへ値を切り下げている。

ブルームバーグ相関・加重通貨指数によると、ユーロは今四半期 に10通貨中最高の4.9%上昇。ドルは2.8%高、円は2.6%安となってい る。

米量的緩和継続観測で株高

27日の米株式相場は3日続伸。5月の中古住宅販売成約指数が約6 年ぶりの高水準になるなど米指標が強めだったことに加え、米金融当局 者が緩和維持を示唆したため、買いが続いた。

IG証の石川氏は、流動性相場からファンダメンタルズ(経済の基 礎的諸条件)相場への過渡期にある中で、「米景気回復期待の強まり と、バーナンキショックを緩和するような米金融当局者の発言という二 重のプラス要因が米株式を包みつつある」と指摘。「日本株やその他の 世界株式市場にもプラスの影響を与える可能性が高く、株式との連動が 高まっている円相場にとっては円安圧力が強まりやすい」と話した。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁はニューヨークでの講演で、経済 の成長ペースが金融当局の予想を下回った場合に資産購入が「ペースを 速めた形でより長期間継続される」可能性があると述べた。また、アト ランタ連銀のロックハート総裁は、バーナンキ連邦準備制度理事会 (FRB)議長が年内に金融緩和策を縮小させる可能性があると発言し たことに対して、投資家は過剰に反応した可能性があると話した。

米経済指標

米国ではこの日、6月のシカゴ購買部協会指数とミシガン大学消費 者マインド指数確定値が発表されるほか、リッチモンド連銀やサンフラ ンシスコ連銀など地区連銀総裁の講演が予定されている。

また、来週は6月の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数や雇 用統計など、米景気の動向や金融政策の先行きを占う上で注目の経済指 標の発表が相次ぐ。

一方、朝方発表された日本の経済指標はおおむね予想の範囲内で、 為替相場への大きな影響はなかった。5月の全国消費者物価指数 (CPI)で生鮮食品を除いたコア指数は予想と同じ前年同月比横ばい となり、7カ月ぶりにマイナス圏を脱した。

三井住友信託銀行ニューヨークマーケットビジネスユニットマーケ ットメイクチーム長、海崎康宏氏(ニューヨーク在勤)は、「7月に参 院選があるが、日銀も今は特に動きがないので、日本からの材料で円安 というのは今は考えづらいところがある」と指摘。このため、ドル・円 は今後ドルの動きにつられることになるとし、「米指標が強く、またド ルが買われる展開になれば、もう一度上を試すことはある」と話した。

中国リスク

中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は28日、中国は市場の安定 を維持し、適切な時期に政策を調整すると述べた。周総裁はまた、中国 の景気減速は合理的な範囲にとどまっており、経済は安定しているとの 認識を示した。中国は穏健(慎重)な金融政策を継続するとし、この政 策はこれまでのところ良い結果をもたらしているようだと述べた。

クレディ・アグリコル銀の斎藤氏は、「一部に6月末危機説が出て いただけに、中国株がプラスになっていることも月末の恐怖感を減少さ せている可能性がある」と、株高・円安の背景を分析した。

一方、IG証の石川氏は、中国の流動性逼迫(ひっぱく)懸念はひ とまず後退しているが、根っこの部分にある景気減速懸念は払拭(ふっ しょく)されていないと指摘。今後発表される経済指標で「中国経済の 安定化の兆しが戻りつつあるという証拠が確認できない限りは、思惑で 振れる展開となる可能性が高い」と言い、中国株の動向次第では「リス ク回避の円買いになるリスク」も残ると話した。

--取材協力:大塚美佳. Editors: 青木 勝, 山中英典

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