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西武:サーベラス案総会で否決、初戦勝利-上場へ解決策模索

西武ホールディングスは25日開催し た株主総会で、役員案を含む全会社提案に株主の賛同が得られ、筆頭株 主の米投資会社サーベラス・グループの提案は全て否決された。株式上 場の過程で春先に表面化した対立は解決策を模索する。

早期の株式上場を目指す西武HDと上場よりもコーポレート・ガバ ナンス(企業統治)整備を優先させたいサーベラスは経営方針の対立が 3月に表面化。これを受けてサーベラスは株式公開買い付け(TOB) と独自の役員選任議案を提出、TOBでは持ち株比率を35.5%に上げた が議案は退けられた。

西武HDはTOBに反対の方針を表明、サーベラスは目標の44.7% まで株主の応募がなかった。株主総会でも会社提案がすべて可決された ことで、表立った対決に勝敗が付いた。同時に双方とも話し合いを求め る姿勢は堅持しており、上場をめぐる問題で落としどころを探る。

野村証券金融経済研究所の西山賢吾シニアストラテジストは、西武 HD総会を受けて「第1幕の終わりだ。基本的に上場という方向では一 致しているので、それに向け交渉して行くと思う」と予想した。さらに アベノミクス効果で海外ファンドの問いかけや提案が加速するとして 「企業はどう対応するか、健全な危機感を持つべきだ」と話した。

総会での議案は1-3号が会社提案の取締役・監査役選任案など、 4-10号がサーベラス提案の取締役・監査役選任や定款変更。総会出席 者は過去最高の940人で、サーベラスや一般株主の質問が相次いで所要 時間も過去最長の4時間50分(昨年363人、2時間11分)に達した。

賛成率

西武HDは26日、総会の個別議案の議決権行使の結果を公表した。 会社提案の取締役選任議案である第2号案件は、評論家の大宅映子氏や カネボウ元社長の小城武彦氏ら4人とも賛成率59%台で可決された。

賛成率などの開示が義務化された2010年以降の過去3回の総会は、 いずれも92-98%超の賛成率で全会社議案が可決されていた。

一方、サーベラス提案の4号案件の取締役選任は、ダン・クエール 元米副大統領、五味広文元金融庁長官ら8人がいずれも賛成率39%台で 否決された。サーベラスはこの総会の株主として32%の株式を保有して いた。

西武HDの後藤高志社長は総会で「サーべラスの取締役選任の提案 を受け入れることは実質的に会社を支配されることにつながる」と述 べ、全提案に反対する意思を示していた。サーベラスが事前送付した質 問も、早期上場を阻害する可能性があるとして回答を避けた。

呼び掛け

総会終了後に後藤社長は記者団に、早期株式上場について「各専門 家から、東証が定める企業のガバナンスの有効性にかかる要件を充たし ているとの評価を得ている。サーベラスとも引き続き上場に向けた協議 をしっかりと呼び掛けてゆきたい」と述べ、日本政策投資銀行などの他 の株主も含めた話し合いをする意向を示した。

これに対してサーベラスは、総会に出席したルイス・フォースター アジア地域統括責任者は、総会終了後に記者団に「われわれの役員選任 提案に極めて敵対的な態度を取った。株主への質問に答える意欲が欠如 しており、業績目標未達の説明もなかった」と批判した。そして、これ までの西武HDの一連の対応について「右手で握手、左手は拳を振り上 げているようなもの」と批判した。

同時に今後の取り組みについて「全てのステークホルダーにとって 最善の策を取る」と述べ、各事業部の価値向上や内部統制・コンプライ アンスの改善の要望を続ける意向を示した。さらに26日にリリースを開 示、西武HD経営陣はガバナンスに重大な問題を抱えており上場達成な どに懸念と危機感を覚えていると強調、そして今後も「あらゆる提案を 西武HDに行っていく」と表明した。

日本のガバナンスは進化

2006年ごろには「物言う投資家」と呼ばれたスティール・パートナ ーズなど海外投資ファンドによる日本企業への投資が目立ち、経営陣と の摩擦が目立ったが、リーマンショックを機に対日投資は下火になって いた。

ここに再び日本市場で「物言う」姿勢を見せたサーベラスについて 富国生命投資顧問の桜井祐記社長は、最初から最後まで計算ミスだった のではとみている。それでもサーベラスはTOBで3分の1超の議決権 を取得して、株主総会で特別決議事項を否決できる権利を持った。

西武HDとサーベラスの対立劇について、コーポレート・ガバナン ス向上と普及を目指す公益社団法人会社役員育成機構のニコラス・ベネ シュ共同理事は「この会社特有の特殊な事情から生じており、日本のガ バナンスの傾向が表れている訳ではない」と指摘した。

ベネシュ氏は「日本のガバナンスはむしろ全体的には進化してい る」として、今回もステークホルダー(利害関係者)の利益との観点か ら見直すことで解決策の糸口が見えてくるのではないかと予想した。

--取材協力:山崎朝子、Jason Clenfield. Editors: 持田譲二, 上野英 治郎

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