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サントリー:IPO仮条件、5年で最大の価格幅-需要は不透明

サントリー食品インターナショナル が株式上場へ向け示した募集・売り出し価格の仮条件のレンジが5年ぶ りの大きさとなった。アベノミクスを受け急上昇した日本株は最近にな り乱高下するなど投資家需要は読みにくく、ことし最大と注目されるサ ントリー食品の上場は市場が方向感を欠く中での船出となる。

サントリーホールディングス主力飲料子会社のサントリー食品の上 場は今年最大の新規株式公開(IPO)案件。同社は17日、東京証券取 引所に上場する際のブックビルディング仮条件を1株3000-3800円に決 定した。下限は上限から21%低く、市場からの資金吸収額は最大4760億 円、最少3760億円と最大で1000億円の開きが出る。上場発表時の想定価 格は3800円だった。

安倍晋三政権が推進する経済政策アベノミクスの効果で株価は昨秋 から上昇し日経平均株価は5月22日に1万5627円の年初来高値を付けた が、翌23日には2011年の東日本大震災直後の下げ幅を上回る7.3%下落 を記録。その後も6月17日までに約17%下げるなど乱高下している。こ うした相場環境の下でサントリー食品は仮条件を決定した。

仮条件は投資家から実際に希望購入価格や株式数を募るブックビル ディングに先立ち、引き受け証券会社が業績や市場環境を勘案し企業と 協議して決める募集・売り出し価格のレンジ。ブルームバーグ・データ によればサントリー食品の仮条件の価格幅は日本企業の1000億円規模の IPOで少なくとも5年間で最大となった。10年の第一生命は19%、11 年のネクソンで14%、12年では日本航空が7.7%となっている。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹副部長は、仮条件下 限の3000円について、「市場全体にプレミアムが乗っているような状況 ではなくなった。そういう局面で地合いに引きずられたところもあるだ ろう」と述べた上で、サントリーは「多少慎重になっているのではない か」とも語った。

株価の乱高下

仮条件の幅が広かったことに関連して、サントリー食品コーポレー ト・コミュニケーション部の市本徹雄氏は「昨今の株価の乱高下で市場 や投資家の動向が読みにくい」などど話した。募集・売り出し価格は需 要状況などを踏まえて24日に決まる。上場は7月3日で上場部は未定。

少子高齢化で国内市場の大きな成長が見込めない中、サントリーは 合併・買収(M&A)による成長を視野に、上場による資金調達に踏み 切る。上場後も親会社サントリーHDが株式の6割を保有する見込み で、サントリー食品への影響力を維持する。

サントリー食品の上場をめぐっては、ベイビュー・アセット・マネ ジメントの高松一郎運用第2部長が「投資家にあまり人気がないという 話を聞いている」と述べ、それが広い仮条件の理由だとした。さらに高 松氏は、仮条件が同業他社に比べて割高だと感じるとして「本来は上限 を下げるべきだが、株式の売り出しを行う創業者一族の株主の意向が働 いている可能性が高い」と指摘した。

サントリー食品のIPOのジョイント・グローバル・コーディネー ターは野村ホールディングス、モルガン・スタンレー、JPモルガンの 3社。ブックビルディングは18日から始まった。

--取材協力:岩本正明 Editors: 上野英治郎, 平野和, 淡路毅

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