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米経済再生を促したS&Pの格下げ-ムーディーズは議会注視

米スタンダード・アンド・プアーズ (S&P)から約2年前に最上級格付けの「AAA」を奪われた米国で は、失業率が低下し、家計資産は過去最高水準に達し、財政赤字が縮小 している。それでも米国にはさらなる格下げが待っているかもしれな い。

S&Pは今週、米国の信用格付け「AA+」の見通し(アウトルッ ク)を「ネガティブ(弱含み)」から「ステーブル(安定的)」に引き 上げたが、米ムーディーズ・インベスターズ・サービスは「Aaa」格 付けを維持できるかどうかを見極めるため米議会の今年の財政をめぐる 交渉結果を待っているとしている。米国の格付け見通しを「ネガティ ブ」としているフィッチ・レーティングスは2月、債務の推移が 「AAA」の格付けを持つ国と一致しないと指摘した。

S&Pが米国の信用力をルクセンブルクなど18カ国よりも下と判断 した2011年8月5日以来、米国債利回りは低下し、ドルは上昇、米S& P500種株価指数は最高値を更新した。米議会予算局(CBO)は今会 計年度(12年10月-13年9月)の財政赤字が08年以降最も小さくなると の見通しを示し、14年の米経済成長は06年以来のペースに加速するとみ られている。S&Pでさえ米政府債務の対国内総生産(GDP)比の安 定に伴い「一時的な改善」が見られると指摘している。

ベルテルスマン財団のコンサルタント、ビンセント・トゥルグリア 氏は「もし今、米国が格下げされたら」投資家は「ただ笑い飛ばすだろ う」と述べた上で、「赤字は急ピッチで減少しており、数年は増加しな い」との見方を示した。同氏はムーディーズが02年にカナダを最上級格 付けに戻した際、同社でカナダ担当マネジングディレクターを務めてい た。

米議会の交渉注視

ムーディーズのシニアバイスプレジデントで、米国担当リードソブ リンアナリストのスティーブン・ヘス氏は12日の電話インタビューで、 格付けの判断を示すに当たり米議会の交渉結果を待っていると発言。格 下げは「決まったこと」ではないとし、「米経済と雇用情勢は著しく改 善している。ブームとまではいかないが、プラスの方向に向かってい る」と語った。

その上で、「債務残高の対GDP比率が中期的にある程度改善する ことが確認できれば、Aaa格付けを維持する上で当社はより安心感を 得られるだろう」と説明した。同社は米国の格付け見通しを11年8月に 「ネガティブ」とした。

CBOの試算によると、今会計年度の財政赤字は6420億ドル(約61 兆円)と、09会計年度に記録した過去最高の1兆4000億ドルの半分以下 に縮小するものの、債務残高の対GDP比は76%と約1ポイント上昇す る見通し。ムーディーズは先月20日のリポートで、最新予測は米国にと って「クレジットポジティブ」であるとも指摘した。

フィッチの広報担当ダン・ヌーナン氏によると、同社は7月の早い 時期までに格付けに対する判断を示す方針。同社は2月のリポートで、 米格付けの安定には「10年代後半は公的債務が減少軌道にあるとの確 信」が必要だろうと記した。同社は11年11月から米国の信用格付け見通 しを「ネガティブ」としている。

フィッチのリードソブリンアナリスト、デービッド・ライリー氏は 電子メールで12日配布した文書で、同社独自の予測は「債務残高の対 GDP比のある程度の低下を示唆しているかもしれない」と説明した。

原題:Obama’s Lost AAA Brings Falling Yields-to-Deficits on Downgrade(抜粋)

--取材協力:Daniel Kruger、Mike Dorning、Ian Katz.

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