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円が対ドル93円台突入、異次元緩和後の下げほぼ解消-株安で

東京外国為替市場では、円が対ドル で一時1ドル=93円台に突入し、日本銀行が異次元の金融緩和を4月に 発表して以来の下げ幅をほぼ解消した。日本株の大幅続落による投資家 のリスク許容度減退が円買いを促したとみられている。

この日は朝方から円買い優勢の展開で、午後4時28分現在の円は主 要16通貨全てに対して前日終値比で上昇している。ドル・円相場は午後 の取引終盤に93円79銭まで円が買われ、日銀の「質的・量的金融緩和」 が発表された4月4日以来の円高値を更新した。ユーロ・円相場も円が 午後から一段と上昇し、一時は1ユーロ=125円52銭と約2カ月ぶりの 円高値を付けた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラ テジストは、ドル・円の動きについて、「短期的にドルが買われ過ぎて いたことから、6月末の米ファンド決算期末などを控えて、持ち高調整 の動きとなっていることがある」と指摘した上で、「株価が値崩れする と、リスク許容度が減退して、円が買われている」と述べた。

この日の東京株式相場は大幅に続落し、TOPIX、日経平均株価 とも5月23日に次いでことし2番目の下げを記録した。東証1部33業種 は全て安く引けた。この日の東証1部の時価総額は約363兆円と、今年 の最高水準である約442兆円から79兆円程度目減りしたことになる。

円安要因になる可能性があるとして市場関係者の間で一時注目され た日本の投資家の外国債を買う動きは、この日の財務省の統計でも確認 できなかった。同省が発表した対外・対内証券売買契約などの状況(週 間、指定報告機関ベース)によると、国内投資家は海外の中長期債を6 月8日の週まで4週連続で売り越した。

ドルは円以外の通貨に対しても下落している。主要6通貨に対する ドルの動きを示すインターコンチネンタル取引所のドル指数は一時80.5 前後と、終値ベースで2月19日以来の低水準を前日に引き続き更新し た。

米量的緩和縮小観測

5日の安倍晋三首相による成長戦略の発表を最後に、ドル・円の方 向を見極めるための市場の注目が日本から米国へと大きく傾きつつあ る。みずほコーポレート銀行の岩田浩二バイスプレジデント(ニューヨ ーク在勤)は「アベノミクスの3本の矢というのも出て、多少この間失 望感などが出たりして、米国サイドでも緩和策縮小の話は政策の一つの シフトではあるので、大きな転換点になる」と言う。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は現在、月額850億ドルのペー スで進めている債券購入の縮小時期をめぐり議論を続けている。サンフ ランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は先週、「早ければこの夏にも、当 局の購入プログラムに対する何らかの調整、恐らくは下方向への幾分の 調整があり得ると思う」と指摘。

一方でアトランタ連銀のロックハート総裁は、最近の経済指標につ いて「依然として非常にまちまちな内容だ」と発言。債券購入ペース鈍 化の検討時期については「私ならもう少し慎重に考えて8月か9月、も しくは年末までにと言うかもしれない」と述べていた。次回のFOMC は来週開かれる。

三菱UFJモルガン・スタンレー証の植野氏は、「米国の経済指標 で良い数字が出ると、量的緩和の早期縮小懸念が強まり、株価が調整し てしまう。米ドル建ての過剰流動性の分散ペースを縮小できるほど、米 国の景気が立ち直っているのであれば、普通なら業績相場に移行しても おかしくないのだが、金融緩和頼みとなっており、不安定な状況となっ ている」と言う。

ブルームバーグが実施したエコノミスト調査の中央値によると、米 商務省がこの日発表する5月の小売売上高は前月比で0.4%増と過去3 カ月では最大の伸びが見込まれている。4月は同0.1%増だった。

--取材協力:大塚美佳. Editors: 青木 勝, 山中英典

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