世界の一部主要銀行の複数のトレ ーダーが、数兆ドル規模の投資の価値を決めるために用いられる外国為 替レートの指標を操作していたことが、事情に詳しいディーラー5人の 証言で明らかになった。

これらの行員は、顧客の注文を先取りし、指標が設定される60秒の ウィンドウ(時間窓)が開いている間とその前に取引を実行する手法を 用いて、WM/ロイターのレートを操作していた。物議を醸す慣行であ ることを理由に現職のトレーダーと元トレーダーが匿名を条件に語っ た。トータルで20年余りの業界経験を持つ関係者2人によれば、ディー ラーらはレートを動かすチャンスを拡大するため、同業者と共謀してい たという。

2人のトレーダーによると、スポット外為市場で少なくとも10年間 にわたってこの種の操作が日々行われ、ファンドやデリバティブ(金融 派生商品)の価値に影響を与え続けた。この件に詳しい関係者の1人に よれば、英国の市場監督機関である金融行動監視機構(FCA)もレー ト操作の可能性について調査に着手するかどうか検討している。

米マサチューセッツ州フレーミングハムを拠点に外為取引の助言を 行うFXトランスペアレンシーの共同創業者で、銀行業界で12年の経験 があるジェームズ・マッギーハン氏は「外為市場は開拓時代の無法な米 西部のようだ。買い手は用心が必要だ」と話す。

WM/ロイターの指標レートは、ファンドマネジャーが保有資産の 日々の価値を算出するために用いるほか、株価や債券の指標を提供する FTSEグループやMSCIも利用している。このレートは大部分の投 資家がフォローしているわけではないが、調査会社モーニングスターの 推計によれば、そのわずかな動きもグローバル指標に連動する貯蓄預金 や年金を含む3兆6000億ドル(約347兆円)相当のファンドの価値に影 響を与える可能性がある。

英FCAも疑惑を承知

事情に詳しい関係者の1人が公に話す権限がないとして匿名で語っ たところでは、欧州の主要な資金運用会社の一つがレート操作の可能性 について、過去1年以内に英国の監督当局に苦情を申し入れた。FCA のクリス・ハミルトン報道官はWM/ロイターの指標レートについて、 「これらの疑惑を承知しており、該当する関係者と話をしている」と述 べた。

WM/ロイターの指標レートは、ボストンを拠点とするステート・ ストリートの子会社ワールド・マーケッツとトムソン・ロイターが集計 し、提供している。ブルームバーグ・ニュースの親会社であるブルーム バーグ・エル・ピーは、ニュースや金融情報、為替トレーディングシス テム、価格データの提供でトムソン・ロイターと競合関係にある。ブル ームバーグ・エル・ピーはブルームバーグターミナルを通じて、WM/ ロイターの指標レートを提示している。

事情に詳しい関係者の1人によると、ステート・ストリートはこれ までのところ、為替指標レートに関係する不正行為疑惑で警告を受けて いない。ステート・ストリートは電子メールを通じて配布した発表文 で、「これらの情報の集積とスポットフィクシングの算出は匿名で行わ れる自動化されたプロセスであり、レートの質と精度は監視されてい る」とした上で、データは「ストリーミングを通じて多数の取引執行ス ポット」から集められると説明した。

揺らぐアンカー

ワールド・マーケッツはオンライン上に掲載したメソドロジー(方 法論)で、レートの精度を保証するものではないとしている。ロンドン 銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作の発覚を受けて、国際監督当 局は4月に金融指標に関する指針案を公表したが、関係者の1人によれ ば、ステート・ストリートはこれを確実に順守するためにロンドンの法 律事務所フレッシュフィールズ・ブルックハウス・デリンジャーを起用 した。

フレッシュフィールズの広報担当ニック・パーカー氏はコメントを 控えている。トムソン・ロイターは、問い合わせにはステート・ストリ ートが応じるとしている。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の金融市場グ ループのトム・キルヒマイヤー研究員は「この価格メカニズムは、経済 システム全体のアンカー(頼みの綱)とも言えるものだ。何らかの操作 が行われれば、資本配分の誤りを招き、社会に極めて甚大な損害を与え る」と警告している。

原題:Traders Said to Manipulate Currency Rates to Profit From Clients(抜粋)

--取材協力:Lindsay Fortado、Anchalee Worrachate、Neal Armstrong、Lucy Meakin、Peter Eichenbaum.

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