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円全面高、日銀政策据え置きで-日本側の材料出尽くしの見方も

東京外国為替市場では、円は全面高 の展開。日本銀行がこの日の金融政策決定会合で政策の据え置きを決め たのを受け、円買いが加速した。

午後3時55分現在の円は前日終値ベースで主要16通貨全てに対して 上昇。対ドルでは一時1ドル=97円79銭まで買われた。対ユーロでも1 ユーロ=129円93銭と、朝方に付けた5日以来の円安値131円32銭から1 円以上も上昇する場面が見られた。

日銀は政策方針の現状維持を全員一致で決定。振れの激しい長期金 利の動向を踏まえ、市場が注目していた資金供給オペの期限の延長に関 しては見送った。

ウエストパック銀行の為替ストラテジスト、ジョナサン・キャベナ ー氏(シンガポール在勤)は、「日銀に何らかの期待をしていた市場関 係者には少し残念な結果となった。ドル・円の目先のリスクはまだ、下 に傾いている。他のアジア通貨などに対して膨らんだ円の売り持ち高の 解消の動きがここからさらに出てくるリスクがあるとみている」と語っ た。

ブルームバーグ・ニュースが日銀ウオッチャー17人を対象に行った 事前調査では、大勢が金融調節方針の現状維持を予想。1年以内に限定 していた、0.1%の固定金利方式で行っている共通担保オペの期間延長 については、15人が今会合で実施される可能性があるとみていた。

円の上昇圧力は限定的

ただ、為替市場関係者からは、決定会合の結果発表の前から共通担 保オペの期間を延長する可能性について懐疑的な声が聞かれた。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の村田雅志通貨ストラ テジストは、黒田総裁が4月に異次元の金融緩和の実施を決めた際、「 必要なことは全てやったと言ったし、物価をターゲットにしているので マーケットは見ていないと言っていた」と指摘。「そういう人が今回、 金融市場が動揺したからと言って動くと過去の発言を全部否定してしま うことになる」と述べていた。

先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重通貨指数に よると、この日の円の高値は前日の高値を下回っており、上昇圧力は限 定的だった。ドル・円やユーロ・円での円の上昇幅も限られた。

みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、「アベノミク スの成長戦略は参院選を経ないと出てこないし、日銀も小出しの政策は 打たないとなると、日本サイドは材料出尽くしだ。来週にかけてはFO MC(米連邦公開市場委員会)待ちで、そう大きくは動かないだろう」 と指摘。「今後もドル高・円安基調は変わらないが、先月までの半年で 3割という急ピッチから年率10%程度に減速する」と言う。

米供給管理協会(ISM)が3日に発表した5月の製造業総合景況 指数は49と、2009年6月以来の低水準だった。中国の当局が9日までに 発表した5月の輸出とインフレ、新規融資の統計は全てエコノミスト予 想に届かず、国内外の需要の鈍化を示唆した。

SMBC日興証券の野地慎為替ストラテジストは、「今後は米国が QE(量的緩和)を本当に縮小していけるのかを見極める展開になるだ ろう。ISM製造業景気指数が節目の50を割り込んだので、ニューヨー ク連銀やフィラデルフィア連銀の景況指数を見ていく必要があるのに加 え、欧州は内需が弱いままで、欧州を輸出先とする中国にも影響が出て いる。グローバル経済は決して手放しで喜べる状況ではないからだ」と 述べていた。

--取材協力:Mariko Ishikawa. Editors: 青木 勝, 山中英典

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