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出光興産の月岡次期社長:ガス田権益を視野-市況変動回避

出光興産の月岡隆次期社長(62) は、同社が検討を進めているカナダでの液化天然ガス(LNG)輸出事 業の一環として、ガス田権益の取得も視野に入れていることを明らかに した。上流権益を獲得することで、天然ガス市況変動の影響を受けにく い事業の構築を狙う。

27日開催予定の定時株主総会終了後に正式に社長に就任する月岡氏 は5月31日のブルームバーグのインタビューで、同事業パートナーのア ルタガスとは、同社がカナダでガス田権益を探しているときに出会った と話し、権益については今でも興味を持って探していると話した。

しかし、権益売却の意思を持つ企業は多いものの価格面で「われわ れのストライクゾーンに入ったものはない」という。購入に関心はある ものの交渉の過程で値段が跳ね上がることが多く、「投資判断として手 を出せる状況ではない」と指摘した。

出光はカナダ西海岸で現地のアルタガスと共同で、年間200万トン 規模のLNGプラントを建設することを検討している。アルタガスの子 会社が保有しているパイプラインで西海岸に運び液化する計画だ。出光 のLNG輸出事業の強みはカナダ国内で唯一、ロッキー山脈を越えて太 平洋岸に至る既存のパイプラインを利用できる点。

中部電力と大阪ガスが参画する米テキサス州のフリーポートの輸出 事業は5月、米エネルギー省から輸出の許可を獲得。独立行政法人石油 天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)バンクーバー事務所の辻 本圭助所長が「石油・天然ガスレビュー」の5月号に掲載したレポート によると、日本へのLNG輸送日数は米メキシコ湾からが約20日、中東 ドバイからが約22日、豪シドニーが約15日かかるのに対し、カナダ西海 岸ブリティッシュコロンビア州中部からだと約10日で「非常に有利」と 指摘した。

ガス指標価格連動で販売も

出光は、この事業に必要な天然ガスを、米国の「ヘンリーハブ」価 格よりも安いカナダの「ステーション2」市場を基準にした価格で調達 することを予定している。月岡氏は、「例えばヘンリーハブやステーシ ョン2リンクで売っていく」可能性を示し、需要家に対し、原料の購入 時と同様に販売時も現地の天然ガス指標価格に連動する形でLNGを取 引する考えを示唆した。

ヘンリーハブは米国、ステーション2はカナダの天然ガス・パイプ ラインが交差する集積地の名称。これらの地点での取引価格が指標価格 として用いられている。

日本政策投資銀行のレポートによると、新規契約のすべてがヘンリ ーハブ価格の連動になった場合、2020年の日本のLNG平均調達価格 は、全量が原油輸入価格連動で値決めされている場合と比べて15%安く なることが見込まれている。

M&A積極化

月岡氏によると、企業合併・吸収(M&A)を積極化させることも 検討している。アグリバイオ事業を拡大するため11年に東証2部上場の 農薬メーカー、エス・ディー・エスバイオテックを買収。昨年12月に は、豪独立系燃料油販売会社フリーダムエナジー・ホールディングスも 買収した。

フリーダムエナジーは、豪クイーンズランド州ブリスベンで輸入タ ーミナルを活用して軽油やガソリンを販売するほか、豪州東海岸で40カ 所のガソリンスタンドを運営している。月岡氏は、いくつかの案件を手 掛けた結果、買収の予備段階のデューディリジェンス(資産査定)を 「社員だけでやれるとこまできている」と話した。

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