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ソニー筆頭株主は誰?-ローブ氏やゴールドマン複雑取引

大富豪のダニエル・ローブ氏は自身 が運営する投資運用会社サード・ポイントがソニーの筆頭株主だとした 上で、株式上場を通じた娯楽事業の一部売却を提案した。ソニーや同社 転換社債(CB)を保有する米ゴールドマン・サックスの特別目的会社 (SPC)、財務省がそれぞれ公表している資料では、筆頭株主とは確 認できない。

ソニーの株主構成については、サード・ポイントによる現金決済型 スワップ取引や、ゴールドマンがソニーのCBをリパッケージする際に 利用したSPCの存在などにより、ソニーの筆頭株主が誰なのか、視界 不良の状況だ。

サード・ポイントは5月14日付の平井一夫ソニー社長宛て書簡で、 約6400万株の「エクスポージャー」を保有していると説明。この株数は 発行済み総数の約6.3%に相当するが、5%超の保有者に義務付けられ ている大量保有報告が提出されておらず、ゴールドマンのSPCのシグ ナム・コーラルが金融当局に報告した保有比率8.9%を下回っている。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員はソニーについ て「CBやスワップなどの複雑な取引で、株主構成が分かりにくくなっ ている」と分析している。

金融商品取引法では5%を超える上場株式等を保有した場合、5営 業日以内に金融当局への大量保有報告書提出を義務付けられている。

サード・ポイントのソニー宛て書簡によると、株式保有の約38%は 現金決済型スワップとなっている。金融庁の説明資料によると、大量保 有報告の規定では、議決権を行使せず、配当や売買利益を得るだけの契 約では、報告義務は免除される。

発言力後退も

コモンズ投信の伊井哲朗社長は、ローブ氏がソニーの筆頭株主でな いのであれば、発言力は幾分弱まるだろうと述べた。

サード・ポイントの広報担当者エリッサ・ドイル氏は、株式保有状 況およびその変更に関してコメントを控えた。

ソニー広報の島有紀氏は問い合わせに対して、サード・ポイントに よる大量保有は確認していないと電子メールで回答した。ソニーの年次 株主総会は20日の予定。

昨年11月末のソニーの転換社債型新株予約権付社債の発行総額 は1500億円。ゴールドマンのほかJPモルガン、野村インターナショナ ル、SMBC日興証券が主幹事を務めた。ゼロクーポン債である同CB はソニー株価が957円に達すれば株式への転換が可能。全てが株式に転 換されれば、発行済み総数の約13%に相当する1億5700万株となる。

CB分離

ゴールドマンが昨年12月7日に発表した資料によれば、同社は流通 市場でソニーCBを購入。社債部分と株式に転換できる株式オプション 部分とに分離した後、金融商品として販売するため、シグナムを設立し た。シグナムは分離した社債部分とCBを買い戻せる権利を売却。

6月4日に提出された大量保有報告によると、株式オプション部分 を保有しているシグナムのソニー株保有比率は10.48%から8.91%に低 下した。

ローブ氏は娯楽部門を手掛ける子会社の株式15-20%を新規上場に より放出して、本業のエレクトロニクス事業に集中するよう要請。これ に対しソニーは売却の予定はないとした上で、取締役会での議論を開始 していた。ソニー株の11日終値は前日比2.2%高の2023円。ローブ氏の 提案発表以降では7.8%上昇している。

リテラ・クレア証券投資情報部の井原翼顧問はサード・ポイントが 「交渉時に姿を大きく見せたいということだったのではないか」と述べ ている。

時価総額

ソニー宛て書簡によれば、ローブ氏が保有するソニー株式の時価総 額は約1150億円。うち約710億円は直接保有分で、残り約440億円は現金 決済型スワップによる保有分。サード・ポイントは書簡の中で、130億 ドル超の運用資産を有しており、ソニーが要請に応じて新規上場した場 合は、それを補強する目的で最大20億ドルを準備中としていた。

米ヤフーの取締役を務めているローブ氏(51)は、ヤフーのスコッ ト・トンプソン前最高経営責任者(CEO)追放にも一役買った。サー ド・ポイントの4月月報によれば、同社はこのほか、日本たばこ産業 (JT)やヴァージン・メディア株を保有している。

原題:Sony Ownership Blurred by Third Point Swaps and Goldman Bonds(抜粋)

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