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食卓に欠かせない大豆、調達確保に商社奔走-南米やアフリカ

総合商社が豆腐や納豆、味噌などの 原料となる食用大豆の調達を強化する。三井物産がブラジルの自社農場 で生産を増やすほか、伊藤忠商事はモザンビーク、双日はウクライナか らの輸入を始める。現在、輸入の大部分を依存する北米では生産が減少 傾向にある上、価格も上昇。調達先の確保が課題となっている。

日本では食用大豆に非遺伝子組み替え大豆を使用している。しかし 大豆価格の上昇を背景に除草剤の散布が少ないなど手間をかけずに効率 的に生産できる遺伝子組み替え大豆を生産する傾向が世界的に強まって いる。米農務省によると、2000年に54%だった遺伝子組み換え大豆の生 産比率は12年には93%にまで上昇。非遺伝子組み換え大豆を調達するた めに農家に支払う割増金は高騰しており、安定確保は難しい状況だ。

三井物産・穀物トレーディング室の佐藤幹央大豆チーフトレーダー は「非遺伝子組み換え大豆の供給力は世界的に細くなっており、分散し て買い付けないと中長期的な安定供給はできない」と指摘する。

そこで北米以外の調達先として力を入れるのが完全子会社マルチグ レインがブラジルで展開する農場での生産。佐藤氏は「マルチグレイン から日本への非遺伝子組み換え大豆の供給は需要がある限り増やしてい きたい」と話す。

モザンビークやウクライナ

ブラジルとほぼ同じ緯度に位置するアフリカのモザンビーク。伊藤 忠商事は同国から非遺伝子組み換え大豆の調達に向けた取り組みを進め ている。大豆を使用する日本の食品メーカーなどと共同で種子を開発 し、昨年7月から現地で試験栽培を始めた。

事業を担当する油脂・穀物製品部の天野敏也・大阪食糧課長による と、14年にも日本への輸入を開始し、15年には5000-1万トンまで拡大 したい考え。日本までの距離はカナダよりも近いなど北米産の大豆と比 べても「コスト競争力はある」とみる。「日本への供給拠点となり得る と同時に将来はアフリカのマーケットも狙う」と期待を寄せる。

双日も子会社を通じてウクライナからの調達を始める。現地や米国 の穀物企業と提携し、まずは年内に数百トン規模で輸入する。2-3年 後には5000トン程度まで調達量の拡大を目指す。

兼松は昨年末に米オハイオ州で非遺伝子組み換え大豆の集荷事業を 買収した。米国やカナダの既存取引先からの買い付け強化などで、日本 への輸入量を現在の年間9万トンから3-5年後に14万-15万トン規模 に増やす。農産油脂部の森田克己部長は「食品大豆はメーンの一つの商 品として今後もしっかりと取り組んでいく」と話す。豪州からの調達の 検討も同時に進めている。

農林水産省によると、11年度の国内の食用大豆の需要量は95万ト ン。そのうち8割弱に当たる約74万トンを輸入した。米国とカナダで輸 入量の9割以上を占める。

主産地米国での干ばつの影響もあり昨年9月にはシカゴ商品取引所 (CBOT)の大豆先物価格は1ブッシェル当たり17.89ドルと過去最 高値を付けた。現在の価格は同15ドル超。2000年と比べると価格は3倍 以上に上昇している。

日本では遺伝子組み換え食品の表示義務があるなど、食の安全に対 する意識は高い。5月末に米オレゴン州で未承認の遺伝子組み換え小麦 が発見されたことを受けて、日本や韓国が一部米国産小麦の輸入を停止 するなど波紋も広がっている。

農林中金総合研究所の藤野信之主席研究員は「米国やブラジル、ア ルゼンチンでも直接人間が口にするパンの原料となる小麦については遺 伝子組み換えの種子は用いられていない。大豆製品を副食物として直接 口にする日本にとって非遺伝子組み換え大豆を安定調達することは重要 だ」と指摘している。

--取材協力:Yuriy Humber. Editors: 淡路毅, 浅井秀樹

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