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【今週の債券】長期金利0.8%の下限試す、「シグナルオペ」期間延長観測

今週の債券市場で長期金利は0.8% 台で低下余地を探る展開が予想されている。日本銀行が資金供給オペの 期間延長を決めるとの観測が出ており、金利に低下圧力が掛かりやすい とみられるためだ。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが7日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは 全体で0.75%-0.90%となった。前週末の終値は0.86%だった。

日銀が10、11日に開く金融政策決定会合では金融政策の現状維持が 決まる見通し。ブルームバーグ・ニュースが日銀ウオッチャー17人を対 象とした調査ではほぼ全員が現状維持を予想した。一方、現在1年まで に限定している固定金利方式の共通担保オペについて期間1年を超える 資金供給オペ、いわゆる「シグナルオペ」の期間延長が議論されるとみ られている。

ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、6月は日銀の7 兆円の国債買い入れと国債大量償還が初めて重なるため、4、5月に比 べて需給が改善しやすいと指摘。日銀決定会合では金利の安定化策が期 待されるとし、「資金供給オペの期間を現行の最長1年から2年以上に 延ばすことで金利を安定させて株価をサポートするのが現実的だろう」 と言う。

5年債入札

14日に5年利付国債(6月債)の入札が実施される。前週末の入札 前市場で5年物は0.305%程度で推移しており、表面利率(クーポン)は 前回債より0.1ポイント低下の0.3%となる見込み。発行予定額は2 兆7000億円程度。

新発5年債利回りは5月15、23日に0.455%と約2年ぶりの高水準 を付けたが、今月に入ると水準を切り下げた。次回日銀決定会合で期間 2年物の資金供給オペ導入について議論されるとの観測から前週末に は0.265%と約1カ月ぶり低水準を付けた。

今回の入札について、野村証券の松沢中チーフストラテジストは、 5年債はすでにシグナルオペの長期化を織り込んで相場形成をしてお り、運用対象として妙味は乏しいとしながらも、米量的緩和の縮小観測 で銀行勢が残高を落とした「コアポートフォリオを積み戻し、入札は無 難にこなしそう」と言う。

一方、12日には既発の20年と30年国債を追加発行する流動性供給入 札(発行額3000億円程度)が実施される。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は9月物、10年国債利回りは329回債。

◎大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥債券運用部長

先物9月物142円20銭-143円30銭

10年国債利回り=0.80%-0.90%

「債券相場は戻り歩調が続きそう。日銀が短い年限の金利安定に取 り組む姿勢を示す中、一時に比べて買い安心感が強まってきた。実際、 日銀が買い入れオペの運用を見直し、1-5年の購入に厚みを持たせた ことなどが好感されており、ボラティリティの抑制に一定の効果が見込 める。ただ、会合で日銀が資金供給オペの年限延長を決めなければ、短 中期ゾーンに戻り売りが出る場面がありそう」

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長

先物9月物142円20銭-143円20銭

10年国債利回り=0.80%-0.90%

「日銀の買い入れの効果は出てきているが、金利が低下したところ では債券売りの潜在的需要もありそう。流動性が低い中、相場急落を見 てしまうと買い進みづらくなる。5年債は0.35%付近が妥当な水準とみ ており、入札に向けた調整もありそうだ。日銀は固定金利オペを2年ま で延長するとみているが、黒田東彦総裁は逐次投入はしないと明言した ので大規模な対応は考えづらく、市場が期待するほどの効果はないので はないか」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物9月物142円20銭-143円40銭

10年国債利回り=0.75%-0.88%

「債券相場は値動きの荒い展開が続いているが、金利は徐々に低下 方向になるとみてる。今週開催の日銀金融政策決定会合では、金融政策 の変更は特にないと予想しているものの、固定金利方式の資金供給オペ の期間を従来の最長1年から2年超へ延長する可能性はありそうだ。た だ、反対派もいるので決まらないかもしれない。仮に延長となっても長 期的な影響はないとみている」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、船曳三郎 Editors: 崎浜秀磨, 山 中英典

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