コンテンツにスキップする

夏のビール戦争、円安は国産クラフトの味方か-輸入勢に圧力

長野県の地ビールメーカー、ヤッホ ーブルーイングの井手直行社長は、同社のクラフトビールをもっと大勢 の日本人が飲むようになると考えている。

同社は今年、生産能力を1.5倍に増やす。円安で輸入ビールが値上 がりし、国内メーカーが有利になると井手社長は期待している。

同社長は輸入ビールについて、「今は小売店がマージンをすり減ら して価格を据え置いていると思う。もしこのまま円安が進んで、耐え切 れなくなれば近いうちに値上がりするだろう」とインタビューで語っ た。「個性的なビールを求める人が輸入ビールを買っている」が、「同 じ個性的なビールだったら価格が安い方を選ぶ」と述べた。ヤッホーブ ルーイングは「よなよなエール」と「東京ブラック」のメーカー。

クラフトビールの人気は高く、安倍晋三首相が経済再生・デフレ終 息の闘いを開始する前から既に、ビール全体の消費減少傾向に逆行して いた。円安と個人消費増大は日本産クラフトビールのブームを巻き起こ すかもしれない。東京商工リサーチによれば、クラフトビールの出荷 は2012年1-8月に前年同期比で7.7%増えた。

一方、ブルームバーグのデータによれば、サッポロホールディング ス、キリンホールディングス、アサヒグループホールディングスを含む 日本の大手ビールメーカー5社の国内出荷は12年に8年連続で過去最低 を記録した。

ヤッホーブルーイングのよなよなエールはオンラインショップの楽 天市場で1缶220円。アサヒのスーパードライは187円。輸入品のギネ ス・エクストラ・スタウトは270円、サミュエル・アダムス・ ボスト ン・ラガーは最低345円だ。

1本6000円のスタウト

東京渋谷のビアバー、クラフトヘッズでは志賀高原アフリカ・ペー ルエール(1杯500円)から米インディアナ州ミュンスターで作られた 限定版ダーク・ロード・ロシアン・インペリアル・スタウト(650ミリ のボトル1本6000円)まで価格はさまざま。

円はここ半年の間にドルに対して約17%下落したが、輸入ビールの 値上げはまだ始まっていない。井手社長の言うように、小売業者がマー ジンを圧縮して円安の影響を吸収しているのかもしれない。

ヤッホーブルーイングは長野県に本社を置く総合リゾート運営会 社、星野リゾートの子会社として1996年に設立された。日本最大のクラ フトビール醸造所だ。昨年11月までの1年間の売上高は40%増えた。今 年は倍増させるつもりだと井手社長は述べた。「想定を上回る需要があ る」という。

円安は原料の輸入価格を押し上げるものの、業界では小売価格に対 する原料コストの比率は10%に満たないし、ヤッホーでは販売量の増加 に伴いさらに下がっていると井手社長は説明した。

2度目の地ビールブーム

全国地ビール醸造者協議会によると、日本では1994年の規制緩和に よってビール製造最低数量が引き下げられたことが地ビールブームのき っかけになった。最初は多数の地ビールメーカーが誕生したが、井手社 長によると現在は200社程度と、ピーク時の300社から減っている。

2011年に川崎に誕生したクラフトビール製造会社のブリマー・ブル ーイングのスコット・ブリマー氏によれば、初期に乱立した地ビールメ ーカーは質が低く生き残れなかった。しかし徐々に品質が上がってきて 業界は近年に再び上向き始めたという。東京商工リサーチの調査員、植 原丈治氏は今は「2度目の地ビールブームと言ってよい」と話した。

30歳の広告会社社員、吉田純也さんにとって、クラフトビールは 「ちょっとしたぜいたく」だ。「濃い味が好き。一週間に一回でいいの でクラフトビールを飲みたい」という。グラス1杯600円は、いつも家 で飲むサッポロ「麦とホップ」の約6倍になる。

クラフトビール人気の高まりを受けて米国では大手ビールメーカー が地ビールメーカーを買収する動きが出た。キリンビールのマーケティ ング部、林田昌也部長はクラフトビール醸造者との提携や買収の可能性 について「考えていない」と言うが、クラフトビールの人気が続けば日 本の大手も買収を考えるかもしれないとブリマー氏はみている。

ブリマーもヤッホーと同様に、需要拡大に対応して生産を増やす計 画だ。「あらゆる年代の人がいろいろなビールのスタイルを理解し楽し み始めている。エキサイティングだ」と同氏は述べた。

原題:$60 Imported Stout Opens Doors for Japan Craft Beer Revival(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE