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成長戦略:今後10年で30兆円規模の電力関連投資-高効率火力

安倍晋三首相は5日、都内で成長 戦略の第3弾について講演し、今後10年間に電力関連投資を過去10年間 の実績の1.5倍程度となる30兆円規模に拡大できるとの考えを明らかに した。

安倍首相は、コストの安い石炭火力の需要が世界で高まっており、 国内の発電所で既に利用されている最高水準の技術を米国、中国、イン ドの石炭火力に適用すれば、日本の総排出量を超える二酸化炭素を削減 できると指摘。石炭火力発電の技術の高効率化をさらに進め、海外に輸 出する方針を示した。

電気事業連合会のデータによると、2012年度の発電電力量全体に占 める石炭火力の割合は28%。資源が特定の地域に偏っていないことや価 格が安いために、震災以前から石炭火力は安定的に活用されている。

現在国内の最新型石炭火力発電所で用いられる「超々臨界圧」方式 では発電効率が40%を超えている。この方式を採用した磯子火力発電所 (横浜市)を保有するJパワー(電源開発)のウェブサイト上の資料に よると、中国やインドの発電効率は平均30%台前半と、日本の水準を下 回っている。

東京電力や東北電力などが出資する常陸共同火力勿来発電所10号機 (福島県)では、石炭をガスに変えてから燃焼させることで燃焼効率を 高める「石炭ガス化複合発電(IGCC)」の技術を用いており、4月 1日に実証段階を終えて商用に移行した。国内で唯一商用化された IGCC方式で、発電効率46%を誇っている。

安倍首相は、風力発電や地熱発電なども含めた「あらゆるエネルギ ー技術」を国内で投資することで育て、世界に向けて輸出することが 「資源小国・日本の唯一の生きる道」と訴えた。

電力システム改革

さらに国内産業の競争力を高めるために、小売りの全面自由化や発 送電の分離など電力システム改革が必要だと強調。改革に向けた法案の 成立に意欲を見せた。

一方で、原発の再稼動や今後の利用に関する言及はなかった。安倍 首相の講演後、収益の黒字化計画が柏崎刈羽原発の再稼動動向に大きく 影響を受ける東京電力の株がストップ安を付けるなど、電力株は大きく 売られた。

--取材協力:広川高史. Editor: 淡路毅

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