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日本のヘッジファンド:1-4月は中小型運用で好成績を確保

日本株で運用するヘッジファンドが 好調だ。大胆な金融緩和など安倍晋三政権が進める経済政策を背景に流 動性が高まった中小型株を買い持ち(ロング)する戦略が奏功し、1- 4月の運用実績では、日本の資産で運用するヘッジファンドの平均 約18%の2倍以上の運用実績を収めるファンドが目立った。

ハヤテインベストメントが投資助言する中小型株ファンドは同期間 に71%の収益を上げた。外為取引のマネースクウェア・ジャパンや照明 製造オーデリックなどの銘柄を買い持ちした。中小型株市場では流動性 の高まりが株価の上昇に直結するとみて、今年に入って2006年の運用開 始以来、ロングの割合を最大にしたことが寄与した。

超低金利政策の継続などアベノミクス効果への期待から株式市場で は昨秋から個人投資家の参加が活発化。ハヤテの杉原行洋社長はさらに 1月から、手持ち株を売却すれば受け渡し前でも信用取引の証拠金が次 の売買に利用できる規制緩和も加わり、昨年まで中小型株投資に二の足 を踏んでいた投資家が動き出したとみている。

1-4月の中小型株市場ではジャスダック指数が67%、東証マザー ズ指数は2.2倍に上昇。出来高はジャスダックが1日平均8354万株と12 年の年間の1日平均の1.9倍に、マザーズでも2541万株と2.6倍に膨らん だ。ヘッジファンドは売り持ち(ショート)も戦術に使うが、株価上昇 局面だけにロングを重視するところが多かった。

ロング戦略を重視

JFlagインベストメントが助言するファンドの同期間の収益は は51%となった。小瀬澤央社長は、この好成績に対する中小型株の「寄 与は大きい」と指摘する。流動性が低かった時期でも企業の将来性など から組み入れた銘柄が、特に12月以降に良い結果を生んだ。

シンガポール拠点のモントレー・キャピタル・マネジメントが運用 するファンドの同期間の収益率は39%だった。村田啓CEO(最高経営 責任者)によると、昨年11月の安倍政権発足前から自動車、金融、不動 産など市場連動性の高い銘柄を買い持ちしていたが、相場が膠着すると みて、3月以降は不動産関連でもケネディクスやレーサムなど中小型に シフトしたという。

ドイツ証券グローバル・プライム・ファイナンス営業部の柳沢正和 ディレクターは、「昨年12月までジャスダックの銘柄は流動性がほとん どなく、ヘッジファンドの投資対象外だったが、現在は流動性が出てき ている」と指摘。「ヘッジファンドの運用収益の源泉になっている」と みている。

個人の動向を注視

こうした中、ダーウィン・キャピタル・パートナーズの佐保田隆史 社長は、「個人投資家好みの株のみ上がる」と述べ、バリュエーション (銘柄評価)の基準を変える必要性を指摘する。個人投資家は企業価値 の評価に関係なくボラティリティ(価格変動率)が高く、値動きの軽い 銘柄や、少額資金から投資できる銘柄に注目する傾向がある。

ハヤテの杉原氏は「個人のモメンタムが出てきてどの銘柄が上がる かわからない」とし個人投資家の参加が増えたことに伴い銘柄の動きが 多様化したため、投資銘柄数を戦略的に増やし分散を効かせていると説 明する。一方、モントレーは投資の材料として注目されていた決算発表 前の4月に大型株に再シフトした。

調整後は選別相場に

ただ、5月に入ると中小型株の上昇には一服感が出ている。ジャス ダック指数は14日をピークに約半月で12%下落、月間では0.5%のプラ スにとどまった。助言先ファンドが24日時点でマイナス5%前後だった JFlagの小瀬澤氏は相場には過熱感があっただけに「目先1-2カ 月の調整はあってしかるべき」で、その方が上昇相場は長続きすると予 想する。

モントレーでも5月の運用結果はマイナス。しかし、村田氏は、4 月まで株価上昇を支えてきた円安の動きは鈍ってきたものの、中小型株 の流動性は高く、「相場が大きくどんどん崩れる環境にはない」と指 摘。5月後半の動きは必要な時間調整(日柄調整)で、今後は割安に放 置された銘柄など、選別色の強い相場になると分析する。

同月は数%のマイナスだったハヤテの杉原氏は、相場の現状や当面 の動向について「個人投資家の中小型熱は冷めておらず、好む銘柄が半 分に減っただけ」と強気の見方。これから先は、無差別に投資するので はなく、実際に収益性が向上しているかなど銘柄選別をどれだけ重視す るかが運用収益を左右する鍵になるとみている。

TOPIXは5日、政府の成長戦略第3弾で期待以上のものが出 ず3.2%安となったが、ジャスダック指数は0.5%の下落にとどまった。 ヘッジファンドのパフォーマンスを示す5月のユーリカヘッジ日本指数 は、5日時点で日本特化ファンドの11%を集計した結果、マイナ ス1.2%。昨年9月から8カ月連続で上昇していたが、マイナスに転じ た。

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