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最悪の不況から脱しつつあるスペイン、輸出に質的変化表れる

ビクトール・アルベローラ・サルセ ードさんは、マドリード郊外の鉄道建設が2010年に中断され自ら経営す る社員17人の会社が契約を打ち切られた際、動揺を抑えきれなかった。 民主化以後30年余りで最悪の不況に見舞われたスペインの現実を思い知 らされた。

スペインの住宅や商業用不動産市場が崩壊し、金融市場が機能不全 に陥った07年、国内の不動産開発大手で倒産する会社が出始めた。建設 会社の事業獲得を支援する宣伝用ビデオを製作するアルベローラさん (35)率いるフォクセルストゥディオスにとって、こうした状況では公 共投資が最後の望みだった。契約解除が影響して同年の利益は76%落ち 込んだ。ただアルベローラさんには中東やアジア、中南米に出て行くと いう選択肢が残されていた。

この判断は報われた。フォクセルストゥディオスはパナマやアルゼ ンチン、カタールの首都の地下鉄路線ほか、メキシコ、クウェート、香 港の道路やトンネル建設に関連する3Dビデオ製作の契約を獲得。同社 の昨年の利益は10年の2倍余りに増加。09年には総売上高の1%に満た なかった海外売上比率は29%に上昇した。そして最も経営が厳しかった 時でも社員は一人も解雇されなかった。

アルベローラさんは「海外に打って出なかったら、いまごろ社員は 半分になっていただろう。雇用は維持できたし、給料も減らさずに済ん だ」と語った。

こうした成功例がユーロ圏4位の経済規模のスペインを6年目にな るリセッション(景気後退)からの脱却へと導きつつある。国内の需要 不足が製品の品質向上と海外進出を企業に促す中、昨年の輸出は2230億 ユーロ(約29兆円)と過去最高を記録。成長を建設と観光に頼ってい た10年間から脱皮する新たな一歩でもあった。

イエセ・ビジネススクール(バルセロナ)のペドロ・ヌエノ・イニ エスタ教授は電話インタビューで、「より付加価値の高い製品へと質的 変化が輸出に表れている」と述べた上で、「スペインはこれからもワイ ンやオリーブ油といった伝統的な製品を輸出するが、医薬品や自動車部 品など、もっと洗練された製品が増え同国経済においてより大きな役割 を担うようになるのは理にかなったことだ」と語った。

原題:Spain Rebounding From Worst Economy as Exports Transform Country(抜粋)

--取材協力:Sofia Horta e Costa.

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