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JPモルガンやゴールドマン、日本株強気崩さず-収益力評価

四半世紀ぶりのペースで上昇相場を 演じてきた日本株は、5月23日の歴史的急落を契機に大きく調整、下値 模索の展開が続く中で先行きに不透明感が生じている。その中でもJP モルガンやゴールドマン・サックスの日本株に対する強気の見方は、他 の主要国をしのぐ日本企業の収益改善を理由に全く揺らいでいない。

ブルームバーグ・データがまとめたアナリストの企業収益予想によ ると、東証1部上場企業の1株利益は2013年に57%増加する見通し。東 日本大震災やタイ洪水の影響が残った前年からの反動に加え、歴史的円 高の修正、企業の積極的な海外合併・買収(M&A)やコスト削減によ る体質強化なども収益の大幅改善に寄与する見通しだ。一方、米国など 主要国の増益率は平均で19%にとどまる。

JPモルガン証券株式調査部長のイェスパー・コール氏は、企業収 益の改善を背景に、TOPIXは14年末までに1800ポイントまで上昇す ると予想している。同氏は、「安倍政権の政策ではなく、個々の日本企 業の『成長戦略』が収益モメンタムの大幅改善を実現する」と指摘。 「投資家は安倍政権の成長戦略を待ち望んでいるが、日本企業は2年以 上前から成長戦略を実行してきた」と言う。

トヨタ自動車は、新興市場での堅調な販売などから今期の連結純利 益が前期比42%増の1兆3700億円と、08年3月期以来の高水準を計 画。10年3月期まで4期連続の最終赤字に苦しんでいた日立製作所も、 その後は黒字が定着、今期は同20%増の2100億円を見込む。ブリヂスト ンの13年12月期も4期連続の最終増益計画で、最高益更新の見通しだ。

目覚めたアニマルスピリッツ

企業の攻めの姿勢は、海外企業に対するM&Aの実績からも顕著 だ。M&A助言を手掛けるレコフによると、12年の日本企業による海外 企業のM&A件数は515件と1990年の463件を上回り、22年ぶりに過去最 多を記録。金額ベースでも約7.3兆円と、過去3番目の高水準だった。

コール氏は、11年3月に起きた東日本大震災が「日本企業のアニマ ルスピリッツを呼び覚まし、企業は成長に向けて投資しなければ生き残 れないとの思いを強めた」と指摘。「利益率の高い海外への投資が加速 すれば、日本企業の収益は構造的に上昇する」とみる。

昨年以降、ソフトバンクによる米通信大手のスプリント・ネクステ ルの買収をはじめ、広告代理店の電通による英イージス・グループの買 収など大型の海外企業買収案件が相次ぐ。海外に活路を見出すこうした 動きの背景には、少子高齢化に直面する日本での収益頭打ちへの危機感 があり、海外事業は実際、日本企業の業績を押し上げ始めている。経済 産業省がまとめた海外事業活動基本調査によると、11年度の海外現地法 人の売上高経常利益率は5.9%と、国内法人の3.3%を上回った。

ゴールドマン・サックス証券チーフ・ストラテジストのキャシー・ 松井氏は、直近の相場調整後もTOPIXの12カ月後の目標値1400ポイ ントを維持している。円安に加え、自動車セクターなどを中心としたコ スト削減による企業体質の強化も加わり、16年3月までの3年間で、東 証1部上場企業の1株当たり利益が2倍になるとの見方が背景だ。

アベノミクス、潜在価値見直す契機に

松井氏は、「私の日本株に対する強気の見方は一切変わっていな い」と強調。日本のことし上期の経済成長率は先進国の中で最も高くな ると見ており、「日本株市場はアベノミクスに対する期待を受けた上昇 相場から、ファンダメンタルズの改善に裏付けられた上昇相場に移行す るだろう」と言う。

日本の1-3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、個人消費 の伸びなどに支えられ、前期比年率3.5%増と2期連続でプラスとなっ た。また、4月の鉱工業生産指数は、自動車セクターがけん引する形で 前月比1.7%増と5カ月連続で上昇、ブルームバーグがまとめたエコノ ミスト予想の最高値を上回った。

企業収益の改善やマクロ経済の回復に加え、安倍首相が就任以来、 矢継ぎ早に金融・財政政策、成長戦略を打ち出してきたことで、ブルー ムバーグが5月に発表したアンケートによると、投資家の日本の首相に 対する信頼感は少なくとも10年9月以降で最も高まっている。

ピクテ・アセット・マネジメントのアドリアン・ヒッキー氏(ロン ドン在勤)は、「日本企業の構造的な改善は進んでいたが、これまで過 小評価されていた」と分析。「アベノミクスは日本企業の本来持つ価値 が株価に反映されるカタリスト(触媒)になった」と見ている。

4日の東京株式市場は、過熱感や割高感の解消を受け銀行、証券な ど金融株、不動産株などこれまでの下落が目立っていた業種が見直さ れ、TOPIXは28.52ポイント(2.6%)高の1125.47、日経平均株価 は271円94銭(2.1%)高の1万3533円76銭と反発した。ただ、日経平均 の高安値幅は500円を上回るなど、引き続き株価指数の振幅が大きい相 場展開だった。

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