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仕組み債含み損が円安で解消、賠償請求訴訟を撤回-朝来市

兵庫県朝来市は、2008年の金融危機 前後に購入した仕組み債で評価損が出たとして販売元のSMBC日興証 券などを相手取って起こしていた訴訟を取り下げる方向で検討してい る。同債は為替相場などに連動する商品だったが、最近の円安で元本を 上回る水準まで評価額が回復しているため。

同市の菊地幸雄総務部次長によると、市議会は20日午前に開いた臨 時会で、元本を上回る利益が得られる見通しとなった仕組み債の売却な どを組み込んだ今年度の補正予算案を全会一致で承認した。同市の多次 勝昭市長は席上、購入に当たってリスク説明が十分でなかったなどとし て、SMBC日興と三井住友銀行に対して起こしていた訴訟について、 売却で根拠がなくなったとして取り下げる方向で検討していると話した という。

菊地氏によると、市は06年から09年にかけて資産運用のために金融 機関4社から為替相場などに連動した仕組み債を購入。購入総額は83億 円に達した。当初は利子が支払われていたが、08年秋のリーマンショッ ク以降は利子が入らなくなり、昨年5月末の時点では約15億円の評価損 が出ていたという。SMBC日興と三井住友銀からはそれぞれ66億5000 万円、12億円分を購入しており、市では昨年6月に両社を相手取って計 4億8666万円の損害賠償請求訴訟を起こしていた。

ところが、安倍晋三新政権への期待などを背景に昨秋以降、急激に 円安が進んだことで市が保有する仕組み債の評価額も上昇。これまで受 け取った利子も含めると解約金を払っても購入元本を3億円ほど上回る 見通しとなったため、売却することにした。

菊地氏によると、今後2-3週間内に販売元を含めた複数の金融機 関の見積もりを取ったうえで売却し、その後、2社への訴訟も取り下げ る方向で検討しているという。SMBC日興の広報担当、国吉清夫氏は 「訴訟中の事案につきコメントは差し控えたい」と述べた。三井住友銀 広報担当の氷室祐一郎氏も「個別の取引につき、回答は差し控える」と 述べた。

兵庫県北部に位置する朝来市は、05年に周辺自治体が合併して誕生 した。農業のほか家具づくりや金属ばね工業などの地場産業が盛んで10 年時点の人口は3万2814人。生野銀山、竹田城址などの観光名所でも知 られる。

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