日本株市場で、将来の配当利回りの 予想指標である日経平均・配当指数先物の動きを見ると、期先物ほど高 くなっている。安倍政権の経済政策「アベノミクス」によって企業収益 が今後押し上げられ、中長期的に株主還元としての配当の増加が続くと みられているためだ。

日経配当指数先物の2013年12月限は22日に215円50銭。同日の日経 平均株価終値1万3568円37銭に基づけば、市場が予想する13年の配当利 回りは1.6%となる。

これに対し、14年12月限は22日に241円、15年12月限は243円、16 年12月限は243円50銭だ。いずれの限月も、10年7月の指数算出来の最 高値圏にある。長らく期先ほど安い傾向にあったが、昨年11月中旬以降 に急ピッチに期先が水準を切り上げ、同12月後半からことし1月にか け、期近と期先の逆転現象が起きた。

損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの中尾剛也シニア・イ ンベストメントマネジャーは、「業績見通しに対する投資家の目線が切 り上がっていることを反映している」と指摘。企業の配当性向は大きく 変わらないため、配当水準は収益の変化に左右されるとし、期先物ほど 高くなっている背景には「業績改善に連動する形で配当も増えるとの見 込み」がある、とした。

ブルームバーグ・データによると、向こう12カ月間の日経平均採用 銘柄の1株利益(EPS)成長率は32%が見込まれている。米S& P500種株価指数採用銘柄の同EPS成長率は12%となっており、相対 的に日本企業の方が増益モメンタム(勢い)は強い。

まずは5割増益予想

為替の円安進行がまず輸出企業の業績を上向かせ、やがて収益改善 の流れは幅広い業種に波及するとし、日本企業の業績見通しについては 楽観的な見方が増えている。大和証券投資戦略部の塩村賢史シニアスト ラテジストは、1ドル=100円、1ユーロ=130円を前提に大和210(集 計対象とする日本の全産業の代表的な210社)ベースで、13年度の純利 益を前期比52%増と予想する。

衆院解散の流れが決まった昨年11月14日には1ドル=80円、1ユー ロ=100-102円前後だったが、今月11日に円は対ドルで一時99円95銭と 4年ぶり、対ユーロでは131円12銭まで円安水準に振れた。

BNPパリバ・インベストメント・パートナーズの清川鉉徳運用本 部長は、「日本株は為替動向と将来配当の相関が高い」と見ている。円 高傾向の場合は、全体として期中で必ず企業業績の下方修正が起きる経 験則があり、将来の配当予想は今よりも先の方が下がると指摘。現在の ように、「円安方向で安定した段階になって初めて、先行きの配当見通 しを示す配当指数先物は期先ほど上がっていく」と言う。

脱デフレなら内部留保の言い訳できず

また、日本企業のキャッシュが積み上がっている点も、株主還元策 としての増配期待が強い一因となっている。ゴールドマン・サックス証 券のチーフ日本株ストラテジスト、キャシー・松井氏は、日本がデフレ から脱却するとの想定の下、「企業のマネジメントがもはやデフレを内 部留保の言い訳に用いることができず、今後はより多くのキャッシュを 分配する可能性が高い」と見方だ。同証によれば、12年末時点の東証1 部上場企業(金融除く)の現金・現金同等物は73兆円だった。

こうした中、塩野義製薬は22日、業績好調を受け、13年3月期の期 末配当を従来の1株当たり20円から22円に変更すると発表。連結配当性 向については、目標を35%から40%に引き上げた。先月14日には、日立 製作所が未定としていた13年3月期の期末配当を5円と計画、年間で も10円と前期実績比で2円増やす。しまむら、マネックスグループ、ヤ フーなども前期に増配した。

日経配当指数は、日経平均構成銘柄をある年の1月から12月まで保 有した場合、受取配当金が確定するごとに日経平均の水準に調整した上 で積み上げて算出するもので、10年4月に算出が開始された。東京証券 取引所での同先物は10年7月26日から取引が始まり、限月は12月限のみ の8限月取引制。

現在は20年12月限までが東証に上場している。ブルームバーグ・デ ータのよると、ことし3月29日に取引最終日を迎えた12年12月限 は、207円80銭で確定した。取引単位は同指数に1000円を乗じたもの。

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