安倍晋三首相は、最先端の医療技術 を開発するため米国のシステムに倣った日本版国立衛生研究所 (NIH)を創設し、日本における難病研究を加速させる考えを表明し た。19日午後の日本記者クラブでの講演で語った。

首相は講演で、政府が6月にまとめる成長戦略で重点分野に位置付 けている医療分野への取り組み方針を紹介。19世紀後半のコレラ対策を 契機に国が中心になって疾病研究に取り組んできた米国NIHの例を挙 げ、「日本でも最先端の医療技術を開発していくためには米国NIHの ような国家プロジェクトを推進する仕組みが必要だ」と強調した。

首相は持病の潰瘍性大腸炎の悪化でいったん辞職した自らの経験か ら、「私には難病で苦しむ人たちの視点に立った政策を進めていく『天 命』とも言うべき責任がある」と指摘。日本版NIHを設置した後は、 「国家プロジェクトとして難病研究を一気に加速させていきたい」との 考えを明らかにした。

また、「再生医療の実用化・産業化を力強く進めるため、大胆に規 制・制度を見直していきたい」とも語った。具体的には再生医療製品な どの承認を迅速に行い、早期に実用化するための薬事法改正案を今国会 に提出する方針を示した。

日銀

黒田東彦総裁の下での日銀の金融政策については「大胆な金融政策 が果断に実行されている」と評価。財政政策も「いまや実行の段階に入 っている」と語った。

環太平洋連携協定(TPP)交渉については「これからが日本の外 交力勝負だ」と指摘。アジア・太平洋、欧州などとの経済連携交渉を積 極的に推進する考えも強調した。近く予定しているロシア、中東訪問で は「食文化、エネルギー、医療システムなど幅広い分野で、トップセー ルスで海外展開の動きを本格化させる」考えも明らかにした。

北朝鮮が挑発的な言動を繰り返していることに関しては「北朝鮮に とって何の利益にもならない、むしろ状況はますます厳しくなる、とい うことを認識させねばならない」とけん制した。

憲法改正

首相は講演後の質疑で憲法について聞かれ、衆参両院の3分の2以 上の賛成で国会が発議できるとした第96条をまず改正する必要があると の認識を重ねて示した。首相は同条の改正について「いよいよその可能 性も出てきた」と述べ、夏の参院選を念頭に選挙運動を通じて改正の必 要性を訴えていく考えを明らかにした。

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