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日銀:長期国債購入を月7兆円強に、マネタリーベースが新目標

日本銀行は4日開いた金融政策決定 会合で、長期国債の購入について、資産買い入れ等基金を廃止し、成長 通貨供給のために行っていた輪番オペに統合した上で、グロス(全体) の買い入れ額をこれまでの月額約4兆円から、毎月の国債発行額の7割 に当たる7兆円強とすることを決めた。決定は全員一致。

併せて、金融市場調節の操作目標を無担保コール翌日物金利から、 日銀当座預金と日銀券などを合わせた「マネタリーベース」に変更し、 これを年60-70兆円ペースで増加させることを全員一致で決定した。こ の方針の下で、マネタリーベース(2012年末実績138兆円)は13年末 に200兆円、14年末では270兆円となる見込み。

発表文によると、日銀は「量的・質的金融緩和」を導入。消費者物 価の前年比上昇率2%という「物価安定目標」を、2年程度の期間を念 頭に置いて、できるだけ早期に実現すると表明した。そのための手段と して、マネタリーベースは2年間で約2倍に、日銀の国債保有額とその 平均残存期間を2年間で2倍以上に拡大する。

黒田東彦総裁をはじめ新正副総裁にとって初めての決定会合で、白 川方明前総裁のカラーを払しょくし、レジームチェンジ(体制転換)を 印象付けるのが狙い。安倍晋三首相が求める「次元の違う」金融政策を 実現するため、黒田総裁は「大胆な金融緩和」を行うと繰り返し表明し ており、今回はその第1弾となる。日銀は今後2年間で2%の物価安定 目標の実現を目指す。

40年債も買い入れ対象に

長期国債については、イールドカーブ(利回り曲線)全体の金利低 下を促す観点から、保有残高が年間約50兆円相当のペースで増加するよ う買い入れを行う。購入対象を40年債を含む全ゾーンの国債とした上 で、買い入れの平均残存期間を現状の3年弱から国債発行残高の平均並 みの7年程度に延長する。いずれも全員一致。日銀の長期国債保有残高 を日銀券発行残高以下にとどめる「日銀券ルール」については、「量 的・質的金融緩和」の実施に際し、一時的に停止する。

指数連動型上場投資信託(ETF)は年間約1兆円、不動産投資信 託(J-REIT)については同約300億円に相当するペースで増加す るよう買い入れる。いずれも全員一致で決定した。

「量的・質的金融緩和」の継続期間については、「2%の物価安定 目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継 続する」と表明。従来の「実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れ などの措置を、それぞれ必要と判断される時点まで継続する」から書き 換えた。この継続期間に対して、木内登英審議委員が反対票を投じた。

ポジティブな内容

ゴールドマン・サックス証券の馬場直彦チーフエコノミストは発表 後のリポートで、日銀の決定について「2%の物価目標の実現を目指 し、金融緩和の枠組みを根本的かつ包括的に変更するものだ」と指摘。 決定のタイミングについても「次回4月26日会合を予想する向きが多か った市場見通しよりも前倒しになり、かつ量的拡大の面でも市場予想を 幾分上回った。全体的に予想対比でポジティブな内容だ」としている。

黒田総裁は2日の衆院予算委員会で「何としても2%の物価安定目 標を2年という期間を念頭に置いて実現したい。実現する必要がある」 と言明。新体制における金融政策運営は「期待に働き掛けることが重要 だ」とした上で、「期待の裏付けになるような、量的にも質的にも大胆 な金融政策を行う」と語った。

シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは会合前、今会 合で基金の長期国債買い入れと輪番オペを統合した上で、月額2兆円増 額による追加緩和を予想。4月2回目の会合である「26日に政策決定を 先送りすることは、市場の『期待』をコントロールするという観点から はリスクが高いだろう」としていた。

先送りは無理

日銀元副総裁の岩田一政日本経済研究センター理事長は先月26日の インタビューで、今会合で予想される政策として、①基金と輪番オペの 統合②日銀券ルールの撤廃③購入国債の年限の制限撤廃④期限を定め ない買い入れの5月からの実施-を指摘。月々の長期国債買い入れ額は 現在の約4兆円から6兆円に拡大するとの見方を示した上で、こうした 施策の決定が次回会合にずれ込むとの見方に対して「そこまで先延ばし するのはちょっと無理だろう」と述べていた。

一方、バークレイズ証券の森田長太郎チーフストラテジストは会合 結果の発表前に、「今会合で、日銀券ルールの扱いも含めてすっきりと 完全統合し、フローベースでの買い入れ額の大幅増加といったところま で踏み込めるかどうかは疑問」とみていた。

黒田総裁は4日午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は5月 2日に公表される。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェブ サイトで公表している。

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