ドル・円が94円前半、緩和期待支えも年度末で手控え姿勢

東京外国為替市場では、ドル・円相 場が1ドル=94円前半を中心に推移した。来週に新体制下での定例金融 政策決定会合を控えて、日本銀行の金融緩和への期待がドル・円の下支 えとなる一方、日本が年度末で、海外市場も休場となる中、積極的な取 引は手控えられた。

午後4時2分現在のドル・円相場は94円13銭前後。朝方には日本の 消費者物価指数(CPI)など2月の指標が発表されたが、円相場への 影響は限定的だった。国内輸出企業のドル売り需要が指摘される中、午 前10時前には一時93円97銭まで円高に振れる場面が見られたが、93円台 の滞空時間は短く、その後は94円前半で小幅な値動きが続いた。

三菱東京UFJ銀行市場企画部グローバルマーケットリサーチの内 田稔チーフアナリストは、日銀の金融緩和について、市場の期待が高い ため、「ドル・円を大きく押し上げる材料になるのは難しいかもしれな いが、あまり極端に失望を誘うようなことにもならない」と予想。「需 給面ではやはり円売りの方が多いだろうし、緩和はドル・円の下支え材 料になるだろう」と話した。

一方、キプロス問題やイタリア政局不安がくすぶる中、午後の取引 ではユーロ売りが強まり、対ドルで一時1ユーロ=1.2800ドルを割り込 む場面が見られた。

日銀緩和期待

甘利明経済再生担当相は29日午前の閣議後会見で、4月3、4の両 日開催される日銀の金融政策決定会合に出席する意向を明らかにした。 同相はまた、黒田東彦新総裁について「大胆な金融緩和を続けていくと いう話をされている」とし、「就任に当たっての決意を述べられた通り 行動に移していかれると思っている」と期待感を表明した。

三菱東京UFJ銀の内田氏は、新執行部就任からまだ間もないた め、期待通りの内容が出ない可能性はあるものの、「そこは為替市場も 熟知した黒田新総裁なので、4月下旬の会合に向けて緩和期待をつなげ るだろう」と予想。その上で、「日本の緩和はどちらかというとドル・ 円の下支えで、もう一段上がるのなら、それは米国要因でだろう」と言 い、来週は日銀会合以上に米雇用統計の結果が重要になると指摘した。

この日発表された2月の全国CPI(生鮮食品を除くコア指数)は 前年同月比0.3%低下と4カ月連続のマイナスとなった。また、2月の 日本の鉱工業生産指数は前月比0.1%低下と予想に反して3カ月ぶりの マイナスとなった。先行きは上昇が予測されている。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司ディレクターは、 「CPIが悪くてもこれから緩和をやるんだという期待がある」と指 摘。その上で、「日本が期末で、海外勢も不在であるため、指標には反 応できない」とし、日中は「期末需給で終わりだろう」と話していた。

キプロス懸念一服

キプロスでは28日、約2週間ぶりに銀行が営業を再開したが、政府 が引き出し額に上限を設定したことから取り付け騒ぎは起きなかった。

欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、キプロスに 対して資本移動規制をできるだけ早急に解除する必要があるとの見解を 表明。キプロス政府は27日の声明でひとまず7日間実施すると説明した が、同国のサリス財務相は「数週間のうち」に終わると述べている。

ユニオン・バンクのトレーダー、白井万雄氏(ロサンゼルス在勤) は、イタリア政局の行方が依然不透明で、「キプロスもまだ終わったわ けではない」とし、ユーロについては「相対的にはまだ売りの方が強い という感じだ」と指摘した。

2月の総選挙後に上下両院がねじれ状態にあるイタリアでは、民主 党のベルサニ党首による連立交渉が不調に終わり、次期首相選びはナポ リターノ大統領に託されることとなった。大統領は29日に各党指導者と 協議する。

ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で一時、1.2755ドルと、27日に 付けた約4カ月ぶりユーロ安値(1.2751ドル)に迫った後、1.28ドル半 ば付近まで反発。この日の東京市場では1.28ドル前半で小じっかりの展 開となっていたが、午後3時前後には一時1.2794ドルまでユーロ安に振 れた。ユーロ・円相場も1ユーロ=120円後半でもみ合っていたが、午 後には一時120円31銭までユーロ売りが進んだ。

--取材協力:大塚美佳. Editors: 青木 勝, 崎浜秀磨

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