GSユアサ:リチウムイオン電池に相次ぐ不具合-業績への影響懸念

GSユアサ製のリチウムイオン電池 をめぐるトラブルが拡大している。ボーイングの最新鋭機787搭載の バッテリーに続いて自動車用でも発火事故などが発生、市場関係者から は業績への影響を懸念する声が出ている。

全日本空輸のB787は1月、搭載していたGSユアサ製電池が損 傷し、高松空港に緊急着陸した。これを受け世界中の航空会社が同型機 の運航を停止している。まだ不具合の原因も不明だ。そうした中で三菱 自動車が27日、電気自動車(EV)「i-MiEV(アイ・ミーブ)」 とプラグインハイブリッド車(PHV)「アウトランダーPHEV」搭 載の電池のトラブルを発表した。

東海東京調査センターの佐藤春雄アナリストは、三菱自動車の不具 合は「より安全性の高いマンガン酸を使ったリチウムイオン電池での事 故であり、イメージの悪化は避けられない」との見方を示す。そもそも 「三菱自動車がアイ・ミーブの販売不振からの立て直しで、アウトラン ダーを売り出した経緯があり、そこでつまづいたことは、ユアサの事業 にも影響するだろう」と述べた。ただ原因さえ特定できれば「回復は意 外と早いのではないか」と付け加えた。

岩井コスモ証券・投資調査部の有沢正一副部長も「飛行機より自動 車の問題の方がより深刻だ」と指摘。GSユアサが将来の基幹事業と位 置付けているリチウムイオン電池の車向けの不具合であることを重視 し、「同社の電池事業や全体の業績に与える影響が一段と大きくなる可 能性は否定できない」と述べた。

三菱自の発表を受けて、GSユアサの株価は28日大幅に下落し、一 時前日比17%安の368円となった。終値は同11%安の392円で、東証1部 の値下がり率でトップだった。また、出来高は昨年来最大となる約4811 万株だった。29日の株価終値は同2.8%安の381円。

GSユアサの2012年3月期業績は、リチウムイオン電池事業の売上 高が210億円、営業損益は33億円の赤字だった。全体の売上高に占める 割合は7.4%程度。13年3月期は第3四半期までの累計で売上高は65億 円、営業損益は72億円の赤字となっている。

生産・出荷停止

独立系投資顧問会社、バリューサーチ投資顧問の松野実社長は「ユ アサのリチウムイオン電池のトラブルは痛いニュースだ」と指摘する。 ただ、航空機から自動車へと相次いで不具合が起きたため「市場は過剰 反応している」との見方を示した上で、リチウムイオン電池事業の売上 高は「連結ベースで比較的小さく直ちに財務に深刻な影響を及ぼすとは 考えにくい」と述べた。

三菱自の発表によると、水島製作所(岡山県倉敷市)内の電気自動 車用バッテリーパック組立工場で18日、完成品検査のため充電中だった 「アイミーブ」用のリチウムイオン電池1個が過熱し発火したほか、20 日に「アウトランダーPHEV」搭載の同電池が発熱し、電池セルなど が一部溶解した。広報担当の村田裕希氏は、原因が究明できるまで、ア ウトランダーPHEVの生産・出荷を停止すると述べた。

これについて米ボーイングは、今回の自動車向けバッテリーの事故 は、B787のバッテリーの過熱とは無関係としている。同社広報担 当、マーク・バーテル氏は「問題のバッテリーはB787のものとは製 造プロセスや設計、化学的性質の面で根本的に異なると確信している」 と語った。

B787の問題については、ボーイング社が25日、試験飛行を実 施。運航再開に向け歩みを進めているが、バッテリー不具合の調査は日 米当局で依然続いており、原因特定の見通しは立っていない。

国土交通省航空局の高野滋安全室長は29日、B787と三菱自のト ラブルについて、リチウムイオン電池が共通しているだけとし、詳細は 分からないものの、現時点ではなんらかの関連があるとはみていないと の認識を示した。バッテリー不具合の調査について記者団に説明した中 で、高野氏が述べた。

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