【日本株週間展望】軟調、欧州と為替変調-日銀踏み込み注視

4月1週(1-5日)の日本株は軟 調に推移しそうだ。企業短期経済観測調査(短観)、金融政策決定会合 と日本銀行発の重要日程が相次ぐが、株高を再加速させる材料性には乏 しいとみられる。キプロスやイタリアなど欧州情勢リスク、円安の勢い が止まった為替の変調を警戒し、利益確定の売り圧力が勝る。

BNPパリバ証券の日本株チーフストラテジスト、丸山俊氏は「買 い疲れ、過熱感、欧州不安、円高などが利益確定売りの理由に使われ、 欧米ヘッジファンドなどからも半期決算を見据え、利益の出ている日本 株に一時的な売りが出ている」と言う。

3月最終週の日経平均株価は前週末に比べ0.5%高の1万2397円91 銭と小幅に反発した。週初こそ、キプロスが欧州中央銀行(ECB)、 国際通貨基金(IMF)などからの金融支援で合意したことが好感さ れ、200円以上上げたものの、その後は下落、上昇を交互に繰り返す鯨 幕相場。国内機関投資家は年度末、海外投資家は第1四半期末に当た り、決算対策や持ち高整理の売りも上値を抑えた。

ユーロ加盟国で、地中海の小国キプロスでは28日、約2週間ぶりに 銀行が営業を再開、パニック的な預金引き出しは起きなかったが、金融 支援の交換条件である国内銀行の整理、資本移動の規制でなお波乱含 み。スイスの大手銀行、UBSのアクセル・ウェーバー会長は「大惨事 は回避されたが、経済への影響は甚大。大量の預金が引き出されるた め、ECBからの流動性に一層依存する」と警戒姿勢を崩さない。

選挙後の政治混迷が続くイタリアでは、連立政権の樹立交渉が不調 に終わり、次期首相選びはナポリターノ大統領に託された。ユーロ圏景 況感指数の低調もあり、欧州情勢に対する不安心理の広がりで、クレジ ット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では欧州の銀行、保険25社 で構成されるマークイットiTraxx金融指数が上昇傾向だ。

円売り・日本株買い勢いに陰り

海外投資家を中心とした「円売り・日本株買い」の動きにも一時期 の勢いに陰りが見え、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによ ると、ドル建て日経平均先物のロング(買い)は19日時点で2週前のピ ークから32%、国際通貨市場(IMM)での円の売り越し規模は、3カ 月ぶりの高水準だった1週前から15%縮小した。東京証券取引所によれ ば、3月3週(18-22日)に海外投資家は日本株を19週ぶりに売り越 し、売越額は919億円だった。

BNPパリバの丸山氏は、日本株が再度上昇基調を強めるには2つ の条件が必要と見ている。「1つは日銀短観での企業の利益計画で、強 ければ決算発表への期待が膨らむ。もう1つは金融政策決定会合で、リ スク資産の購入枠拡大が示されること」とした。ただ、企業は業績予想 を慎重に出す傾向があり、日銀が示すとみられる金融政策も「国債を中 心とした緩和策は織り込み済み、ノーサプライズ」で、2つの条件が今 回「出てくる可能性は低い」と予想している。

ブルームバーグ・データによると、日経平均は1-3月に19.3%上 げ、安倍政権、日銀の政策期待が強まり始めた昨年10-12月と合わせた 2四半期の上昇率は36.5%。列島改造ブームに沸いた1972年7-12月 の37%以来の大きさを記録した後で、売りが出やすい状況にある。

短観DIは改善へ

日銀は4月1日、短観3月調査の内容を公表する。ブルームバーグ がまとめたエコノミスト予測の中央値では、大企業・製造業の業況判断 指数(DI)はマイナス7、同非製造業はプラス8と昨年12月の前回調 査のマイナス12、プラス4からともに改善するもようだ。

バークレイズ証券のチーフエコノミスト、森田京平氏は前回調査で 示された大企業の2012年度為替想定に比べ約15円の円安進行で、「輸出 依存度の高い加工関連業種を中心に収益をサポートする」と分析。昨 年11月半ば以降の日本株のパフォーマンスが他国を凌駕している点も踏 まえ、「企業の景況感は製造業、非製造業ともに改善する」とみる。

一方、日銀は3、4両日にわたり金融政策決定会合を開く。3月20 日の黒田東彦総裁、中曽宏、岩田規久男両副総裁の就任後に迎えた初会 合で、就任会見で2年の時間軸を設けた物価上昇率2%の目標について 「達成できるまで可能な限り、あらゆる手段を講じていく」と決意表明 した黒田総裁の真価を探る一里塚だ。

量的、質的緩和の行方

黒田氏は26日の衆院委員会答弁で、「これまで以上に大胆に質的、 量的な金融緩和をする」と強調。現在は3年までとしている買い入れ対 象国債の年限拡大に関する質問に、「イールドカーブ(利回り曲線)を 全体としてどのようにして引き下げるか、あらゆる選択肢を検討課題と する」と述べた。

SMBC日興証券のチーフエコノミスト、牧野潤一氏は日銀による 資産購入の柱が国債の大量購入、株価指数連動型上場投資信託 (ETF)、不動産投資信託(J-REIT)などリスク性資産の購入 になるとし、国債の大量購入は「『量的緩和』の中核的手段で、最終的 には日米マネー比率の変化を通じて為替レートに影響を及ぼす」と指 摘。リスク性資産の購入は「『質的緩和』で、株式市場のリスクプレミ アムを引き下げ、バリュエーションの拡張をもたらす」とみている。

同証の試算によると、2年以内に物価目標2%を達成するために必 要なマネタリーベースの追加額は152兆円、14年末の残高は280兆円。現 状の緩和ペースなら2年間で66兆円程度の追加、残高は194兆円程度 で、日銀新執行部はこの差を埋める必要がある。2年間で152兆円が追 加されれば、ドル・円レートは14年末に1ドル=110円まで減価する可 能性があるといい、市場が描くこうしたシナリオに黒田総裁がどこまで 踏み込むのか、投資家は見極めようとしている。

このほか、第1週は米国市場で1日に3月の供給管理協会 (ISM)製造業景況指数、2日に新車販売台数、5日に雇用統計など 重要経済統計が発表予定。米景気の改善傾向が日本株の重要な支援要素 となる中、オバマ大統領は2013会計年度末までの資金繰りを確保する暫 定的な包括予算案に署名、予算成立で9月末までの政府機能の維持が決 まった。米財政問題への懸念も目先後退し、予想以上に良好な統計内容 が出れば、市場心理の好転につながる可能性もある。

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