ブラックロック:日本の中小型株に投資魅力、成長戦略の恩恵

世界最大の資産運用会社であるブラ ックロックは、日本の中小型株の上昇を予想した。為替市場で今後円相 場が安定へ向かう中、安倍政権の成長戦略・貿易交渉で恩恵を受けると のシナリオが背景にある。

ブラックロック・ジャパンの河野眞一取締役チーフ・インベストメ ント・オフィサー(CIO)がこのほど、ブルームバーグ・ニュースの インタビューでこうした見解を示した。河野氏は、ドル・円相場につい て1ドル=95円-100円で今後安定するだろうとし、日経平均株価 は2014年3月まで現状水準から15-20%上昇すると読む。特に株式で は、安倍晋三首相が交渉参加を決めた環太平洋経済連携協定(TPP) により、農業関連や医療関連株などがメリットを受けるとの見立てだ。

「20年以上この業界に携わっているが、今ほど日本株に対し強気に なることはなかった。投資家は日本のエクイティを増やすべきだ」と河 野氏。日本の今後の産業構造の変化を買いにいく相場であり、「最も興 味あるのは、素晴らしいアイデアを持っている中小型株」と話した。

同氏は、円安の影響はまだ企業業績に十分反映されてはいないこと から、「株価は割安だ」と見ている。現在の日本株が置かれた環境は、 小泉政権の時代に似ているものの、当時より今の方が日本全体では同じ 方向を向いて意見がまとまっているとして、「一つになったときの日本 は強い」と言う。

本当のグロースは規制緩和から

安倍政権は大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起す る成長戦略の「3本の矢」を経済政策の柱に掲げる。日本銀行の黒田東 彦総裁は21日の就任会見で、物価上昇率2%の目標について「達成でき ると確信している。達成できるまで可能な限りあらゆる手段を講じてい く」との決意を示した。日銀の金融緩和は円安を通じ、日本の輸出を押 し上げる見込みだ。

「為替が安定すれば、業績見通しは一段と高くなると思う」--。 河野氏はそう話しながらも、「本当のグロースは規制緩和から来る。日 本には良い中小企業が多くあるが、変な規制によって押さえ付けられ、 地中にある種のような状況」と指摘した。

安倍首相は15日、TPP交渉への参加を表明。25日には欧州連合 (EU)のファンロンパイ大統領らと電話会談し、日本とEUの経済連 携協定(EPA)の締結交渉を開始することで合意した。さらに、日中 韓の自由貿易協定(FTA)交渉も進む。

河野氏は、自由貿易交渉に農業セクターは反対しているが、逆に海 外の裕福な消費者から日本の農産物に対するアクセスも広がるだろう、 と予想。その結果、日本の農産物の安全性の高さや品質の良さが要因と なり、関連企業は利益を得るかもしれないとした。

農業団体も理解か、ASEANシフト

政府の試算によると、日本がTPPに加入した場合、農林水産物生 産額は3兆円減少する半面、日本全体では国内総生産(GDP) が0.66%、金額で3.2兆円増加する見込み。毎日新聞が実施した世論調 査では、首相によるTPP交渉参加表明への支持は63%で、安倍内閣の 支持率は70%だった。

河野氏は、安倍首相によるTPP交渉の参加が国民、農業団体の反 対などで支持を得られないリスクがあるとしながらも、「農業団体は、 日本がTPPに参加しなければならないと理解していると考えている」 と述べた。

また同氏は、TPPに参加すれば、長期的にインフレリスクを抱え る中国から東南アジア諸国連合(ASEAN)へと日本の貿易がシフト するだろう、とも予測。ASEANの貿易も、中国から米国へ移るだろ うとみている。

ブラックロック日本小型株オープン」などの運用を管理する河野 氏は、1990年に旧第一証券で証券業界でのキャリアをスタート。97年ク レディ・リヨネ銀行、99年JPモルガン銀行を経て、2000年にメリルリ ンチ・インベストメント・マネジャーズ(現ブラックロック・ジャパ ン)に入社した。ブラックロックのグローバルでの運用額は3.79兆ドル (約358兆円)。

「参院選を勝てば安倍政権は長期政権になる。日本が改造していく 上で、今は数少ないチャンスをもらっている」と河野氏は強調した。同 氏が想定する14年3月の日経平均は約1万4500円で、さらにその後も上 昇相場は続くとみている。27日の終値水準は1万2493円。

ブルームバーグ・データによると、河野氏が運用する「ブラックロ ック・グローバル・ファンズ・ジャパン・スモール&ミッドキャップ・ オポチューニティ・ファンド」の資産は180億円。過去1年間のパフォ ーマンスは約40%で、成績は同じカテゴリー内の98%のファンドに対し 上回っている。同ファンドの上位組入銘柄であるツクイは、高齢者や患 者に訪問介護や施設介護サービスを提供。エンプラスは、電子・自動車 部品向けなどで使用されるエンジニアプラスチックの開発・製造などを 行っている。

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