東商取社長:円安で外国人投資家の取引活発化-黒字化期待

国内の商品先物取引で9割超のシェ アを占める東京商品取引所の取引が、安倍晋三政権誕生を契機に活発化 している。インフレ目標を定めた金融政策などの影響で円安が進行し、 外国人投資家の取引高が増加していることが背景にある。

江崎格社長は28日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで 「円安を大歓迎している」と述べ、海外の投資マネーの流入を業績回復 につなげたい考えを示した。

江崎氏は、「円安の進行で外国人投資家の取引が増えた。国内の投 資家もつられて活発に取引している」と説明した。「来年度は何とか黒 字にしたい」とも述べた。

東商取は、2011年度まで4年連続で経常赤字を計上している。政府 の商品先物業者への営業規制厳格化などで04年以降国内個人投資家の取 引が低迷している。

東商取のまとめによると、海外からの委託による取引高は2月に 約96万枚(枚は取引の最小単位、金の場合は1キログラム)に達し、月 当たりの取引高でこれまで最高だった1月を15.4%上回った。金や原 油、白金などの取引が増えた。

金価格は、国際指標となるニューヨーク商業取引所(NYMEX) COMEX部門の先物相場が1月4日以降、今月27日までに3%程度下 落する一方、東商取では同期間に4.7%上昇した。

金や原油など東商取の上場商品は円建てで取引されており、ドル建 てが一般的な海外の主要取引所と異なる。海外の商品価格が一定の場合 でも、円安ドル高の進行が東商取の相場を押し上げ、投資マネーを呼び 込みやすい。

国内外を合計した総取引高は、1月の1日平均取引高が前月比26% 増の13万8736枚と、約2年半ぶりに損益分岐水準の12万枚を上回り、2 月は15.8%増の16万704枚で、11年8月以来の高水準となった。

システムの統合

海外マネーを呼び込むために重要な鍵になるのが国際競争力のある 取引所との提携だが、江崎氏は先物市場運営最大手の米CMEグループ や、国内の2大証券取引所の経営統合で1月に誕生した日本取引所グル ープ(JPX)などと接触を重ねていると話した。「ことし半ば、遅く とも年末までに結論を出したい」と述べた。システムの共同使用で取引 を活性化させるほか、営業経費の約7割を占めるシステム開発・維持費 の削減を図るという。

大証と東証が統合して発足したJPXのデリバティブ市場は14年3 月に大阪証券取引所に集約する。東商取と同じナスダックOMX社の取 引システムを使用するが、江崎氏はJPXが15年に同システムの契約更 新を行うことがシステム共同使用のための必要条件になるという。

国内商品取引所をめぐっては、政府が株式や債券、商品先物市場の 国際競争力を強化するため、13年度末をめどに各市場を統合した「総合 取引所」の創設に向けた法整備を目指しており、東商取の動向が注目さ れている。

ただ江崎氏は、JPXなどの取引所への参加には慎重な姿勢を示し た。「最初のステップはシステムなど特定の分野での提携を考えてい る。一定の期間を過ぎての合併したほうが良ければそこまで進む可能性 もあるが、そこまでは考えていない」と述べ、商品先物と現物株式との 損益通算が可能になるような会計・税制改正が望まれると強調した。

東商取は金やプラチナ、ゴム、石油などを上場し、昨年の取引高は 国内の総取引高の93%を占めたが、前年比では2割減と04年から続く減 少傾向に歯止めがかからず、ピーク時の29%まで落ち込んだ。03年には 世界2位の商品取引所だったが、中国の大連商品取引所やインドのマル チ商品取引所などに抜かれ、12年は12位。2月に東京穀物商品取引所の 農産物を引き継いで上場し、名称を東京工業品取引所から変更した。

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