米国債:上昇、質への逃避-イタリアやキプロスなどの混乱で

27日の米国債市場では10年債利回り が3週間ぶりの水準に低下した。イタリア政局のこう着状態やキプロス 救済策の影響が欧州債務危機を深刻化させるとの観測が背景にある。

午後に入って5年債入札(350億ドル)が実施されたが、既発5年 債利回りはほぼ年初来の水準に下げた。米財務省は今週、計990億ドル の入札を実施する。全米不動産業者協会(NAR)が発表した2月の中 古住宅販売成約指数(季節調整後)は前月から低下。米金融当局は事実 上のゼロ金利政策を維持するとの見方が強まった。

ウィリアムズ・キャピタル・グループの債券取引責任者、デービッ ド・コード氏(ニューヨーク在勤)は「米国債の買いを集めているのは 欧州をめぐる懸念だ」と述べ、「主に欧州に起因する典型的な質への逃 避だ。990億ドルの入札があるにもかかわらず、米国債相場は堅調な展 開が続いている」と続けた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間 午後5時現在、10年債利回りは6ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)下げて1.85%。一時は1.83%と、3月4日以来で最低だっ た。10年債(表面利率2%、2023年2月償還)価格は18/32上昇の101 3/8。既発5年債利回りは4bp下げて0.73%。一時は1月2日以来で 最低の0.72%をつけた。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数によると、 米国債のリターンは年初から0.4%のマイナスとなっている。

タームプレミアム

米国債は年初来で最も割高な水準にある。連邦準備制度理事会 (FRB)のエコノミストが開発した金融モデルに基づくタームプレミ アム(期間に伴う上乗せ利回り)によると、10年債のタームプレミアム はマイナス0.78%。3月11日はマイナス0.56%だった。マイナスのター ムプレミアムは、適正水準を下回る利回りでも投資家が積極的に受け入 れていることを意味する。

5年債入札での最高落札利回りは0.760%。入札直前の市場予想 は0.766%だった。投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.73倍、過 去10回の平均は2.84倍。

海外の中央銀行を含む間接入札者の落札全体に占める比率 は46.1%。過去10回の入札の平均は40.4%。

プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)以外の直接入 札者の落札比率は16.8%と、過去10回の平均は13.7%となっている。

米財務省は28日には7年債(290億ドル)の入札を実施する。

キプロス懸念

欧州連合(EU)主導のキプロス救済策が先例となり、今後も救済 が続く恐れがあるとの懸念を背景に域内の不安定さが増すとの見方か ら、朝方に米国債は上昇した。

キプロスの銀行は28日に日中6時間だけ営業を再開する。ただ資本 規制が施行され、取引は制限される。

イタリアではベッペ・グリッロ氏率いる「五つ星運動」が、政権樹 立を目指すベルサニ民主党党首への協力を拒否した。

グッゲンハイム・パートナーズ(ニューヨーク)の米政府債トレー ディング担当ディレクター、ジェーソン・ローガン氏は「イタリアは政 権樹立に苦慮している」と述べ、「これが安定性を求めた米国債買いを 後押ししている」と続けた。

投資家による月末のポートフォリオ組み換えも買いを支えた。バー クレイズが発表したリポートによると、米国債指数のデュレーション (平均残存期間)は4月1日に0.1年拡大する。3月1日は0.11年拡大 した。

NARによると2月の中古住宅販売成約指数(季節調整後)は前月 比0.4%低下した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査の予想 中央値は0.3%低下だった。前月は3.8%上昇(速報値4.5%上昇)に下 方修正された。この統計を手掛かりに米国債は上昇した。

原題:Treasuries Climb as Investors Seek Safety Amid Turmoil in Europe(抜粋)

--取材協力:Anchalee Worrachate.

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