ECB総裁、度胸試しでキプロスに勝利-伊・スペイン前哨戦か

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総 裁の瀬戸際戦術は、今のところ成功した。

ドラギ総裁は銀行を支える措置についてキプロスに最後通告を突き 付け、100億ユーロ(約1兆2130億円)規模の救済を受け入れさせた。 キプロスだから可能だったが、もっと大きな国を相手にこのような戦術 を使うことに当局者らは尻込みするのではないかと、シティグループや ABNアムロのエコノミストらは指摘する。

ABNアムロのマクロ調査責任者、ニック・コーニス氏(アムステ ルダム在勤)は「ECBは自らルールを定め、国際債権団が求める行動 を取らせようと各国に圧力をかけている」と指摘。「度胸試しのゲーム をスペインやイタリア相手に仕掛けるのは、キプロスの時のように容易 にはいかないだろう」と話す。

ドラギ総裁はキプロスの銀行の生命線である中銀からの流動性を断 つと示唆することで、事実上ユーロ圏での存続を確保するための期限を 設定した。今のところ続いている市場の安定がイタリアの政情不安やス ペインの赤字削減難航で揺らいだとき、総裁はそのような強硬策に出る のか、あるいは柔軟な対応をとるのか、再び選択を迫られることになる だろう。

キプロスの例は救済においてECBが使える「てこ」の大きさを明 らかにした。財政難国の金融システムを支える緊急流動性支援 (ELA)という仕組みをコントロールしているのがECBだからだ。 ECB政策委員会はELAによる貸し付けのリスクが高くなり過ぎた、 あるいは貸し付け先の銀行が支払い能力を維持できる望みがないと判断 すれば、ELAの承認を拒むことができる。

降参するのは相手側

ECBは25日、このてこを使ってキプロスに債権団の要求を飲ま せ、救済の条件である銀行システム縮小に同意させた後、キプロスの銀 行の生命維持装置のスイッチを入れ直した。キプロス政府とユーロ圏諸 国は1週間、この問題で相手の度胸を試し合っていた。

ドイツのメルケル首相がキプロスに対するいら立ちを募らせる中 で、ECBは21日、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)が受け 入れられる案を4日以内に示さなければキプロスの銀行への資金を断ち 切ると通告した。BNPパリバの欧州担当チーフエコノミスト、ケン・ ワトレット氏は「結局のところ、降参しなければならないのは相手側だ ということをECBは明確にした」と述べた。

ただ、ECBがキプロスで使った手法がスペインのような経済規模 の国が救済を必要とした場合に繰り返されることはないと、シティのユ ーロ圏担当チーフエコノミスト、ユルゲン・ミヒェルス氏はみている。 同氏は「ECBがキプロスと同じような態度を取るとは考えにくい」と 話した。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)の 欧州担当チーフエコノミスト、リチャード・バーウェル氏も、イタリア のような経済大国に背を向ければ危機がユーロ圏全体に広がりかねない として、ECBは債券市場での支援条件を緩めるよう迫られることにな るだろうと指摘した。

原題:Draghi Wins Cyprus Chicken Game in Test Run for Bigger Bailouts(抜粋)

--取材協力:Jennifer Ryan、Angeline Benoit.

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