キプロスはどこへ-銀行に依存し銀行の道連れになった経済

キプロス国民はこの10日間の混乱し た出来事を理解しようと努めている。しかし国民の苦悩は終わったわけ ではなく、むしろこれから最悪が訪れるとみられる。確かに当面のユー ロ離脱は回避されたが、銀行に依存し、結局は銀行の道連れになって沈 んだ経済をどう立て直したらよいのかと国民は嘆いている。

首都ニコシアに住む3児の母で公務員のマリア・フィリポーさん (45)は「問題は解決していない。これから半年の間に悪いことが起こ るだろう」と話す。「バンカーに好きなようにさせた」のが悪かったと いう。

紆余(うよ)曲折の末、預金保険の対象となる10万ユーロ(約1200 万円)までの預金は保護されることになったが、それで国民生活が守ら れるわけではないと人々は言う。

ニコシアでトラックの運転手をしていたが半年前から失業している エピファノス・エピファニオーさん(50)は「もっと多くの人が失業す るだろう」として、「誰もわれわれがどこへ向かっているのか分からな い」と不安を語った。

アナスタシアディス大統領はユーロ圏内や国際通貨基金(IMF) の圧力に屈し、キプロス2位の銀行、キプロス・ポピュラー銀行(=ラ イキ銀行)の解体に同意した。ロシアから支援を取り付ける試みが成功 せず、大統領には選択肢がなかった。

薬剤師のヤニス・エマヌイリディスさん(50)は、「合意に不満 だ。キプロス経済を破壊するものだからだ」として、「銀行システムが 破壊されればキプロス経済全体が崩壊する」と指摘した。

キプロスの銀行資産は1月末時点で1264億ユーロと、同国の経済規 模(180億ユーロ)の7倍。欧州中央銀行(ECB)と欧州連合 (EU)統計局のデータによれば、07年には銀行資産は780億ユーロだ った。

ロシアの影

銀行業界肥大化にはロシアの影がある。キプロスの銀行システムに ある資金は大半がロシアから流入したものだからだ。ドイツはキプロス の政権が先月代わる前にキプロス救済へのロシアの参加を求めていた。

プライム・コンサルティング社がテレビ局の委託で今月行った世論 調査で、キプロス人の67.3%がユーロ圏を離れロシアとの関係を強化す るべきだと答えた。調査は686人を対象に3月19、20両日実施された。

ニコシアの公務員フィリポーさんは金融業界と取引のあるコンピュ ーター会社に勤める夫の職が心配だと話す。25日はギリシャの独立記念 日でキプロスも祝日。ギリシャ大使館へのお祝いのパレードに参加する 子供たちを見ながらフィリポーさんは、キプロスの状況は「最終的にギ リシャよりひどくなると思う。子供たちの将来が心配だ」と語った。

原題:Cypriots Mourn Collapse of Livelihoods as Bailout Crushes Banks(抜粋)

--取材協力:Paul Tugwell、Caroline Connan.

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