日本銀行の黒田東彦総裁は26日午 前、衆院財務金融委員会で「通貨及び金融の調節に関する報告書(半期 報告)」の概要説明を行い、関連質疑に臨んだ。この中で、日銀が掲げ る物価上昇率2%の目標について「2年を念頭に置いて、必ず日銀の責 任において達成したい」と述べた。

総裁は「これまで以上に大胆に質的、量的な金融緩和をする」と強 調。日銀による市場の期待への働き掛けについて「デフレ期待から2% のインフレ期待に変えることで、設備投資や個人消費にもプラスに効い てくるのではないか」と指摘し、「期待外れにならないように量的、質 的な緩和をする」と述べた。また、「マネタリーベースの拡大は必要だ が、それだけでは十分ではない。質的な緩和も重要だ」と述べた。

具体的な政策では、現在3年までとしている買い入れ対象国債の年 限を5年に拡大すべきかどうか質され、「イールドカーブ(利回り曲 線)を全体としてどのようにして引き下げるか、その際、あらゆる選択 肢を検討課題とする。ご指摘の点も当然、検討課題となる」と述べた。

さらに、国債買い入れが「やや短期、中期に偏っているとすれば、 価格形成に影響が出る可能性がある」とし、「その点に十分留意して、 バランスが取れた形でイールドカーブ全体が低下するように量的、質的 な緩和をする」と語った。

国債買い入れ残高が日銀券発行残高を上回らない範囲にとどめる 「日銀券ルール」については、「既に日銀の長期国債保有残高は日銀券 発行残高を上回っている」と指摘。「撤廃すると言ったことはない」と しながらも、「撤廃を含めて検討対象になる」との見解を示した。

バランスシートの資産側も重要

また、「毎月グロス(総額)でいくら買うかも金融調節上は重要な 要因だが、金融政策の効果という面ではストックで見ていく必要があ る」と指摘。「長期国債にしても短期国債にしても、ストックがどう動 くかがイールドカーブを下げる、あるいは指標となる金利を下げる上で 重要な要素だ」と述べた。

その上で、来年から毎月13兆円の資産を購入する「期限を定めない 資産買い入れ」についても、「うち10兆円は短期国債で、3-6カ月で 償還されるので、グロスでいくら買っても残高はすぐにフラットにな る。それに対し、長期国債は残存期間が長いので、ストックが増加す る」と述べた。

さらに、「日銀のバランスシートの負債側は非常に分かりやすい。 マネタリーベースも日銀券と日銀当座預金が大宗なので分かりやすい。 しかし、資産側は輪番オペで買っている部分と資産買い入れで買ってい る部分がどういう状況になっているか、一見分かりにくい」と指摘。 「量的、質的緩和を進める上で負債側のマネタリーベースも重要だが、 資産側も重要だ」とした上で、資産買い入れ等基金における長期国債買 い入れと輪番オペを統合する案について「検討に値する」と述べた。

出口のリスクも十分勘案する

一方で、「マネタリーベースと物価の関係はかなり遠くなってい る。マネタリーベースを増やすだけで直ちに物価が反応することは相当 難しい」と指摘。その上で「量的、質的にさまざまな工夫を行うことに よって実体経済に金融緩和を浸透させるとともに、強いコミットメント で期待に働きかけることが必要だ。そうしたことによって、1日も早く 物価安定目標を達成したい」と述べた。

金融緩和の出口政策に関しては「物価がまだマイナスの中で出口う んぬんするのは時期尚早」としながらも、「金融政策運営の際、そうし た問題やリスクについて十分勘案する」と述べた。

白川前総裁の時代から6人の審議委員が残っていることについては 「私自身は1票しか持ってないが、政策委員会メンバーは物価の安定を もたらし健全な国民生活に資するように政策を運営すると法的に定めら れている」と指摘。「また、2%の物価安定目標を決定した委員会でも あるので、十分審議すれば、適切な金融政策運営ができると信じてい る」と語った。

長期金利上昇の影響

長期金利の上昇が経済に与える影響では「インフレ期待が上昇する 中で名目成長率と平仄を合わせる形で長期金利が上昇すれば、経済に大 きなマイナスの影響を与えることはない」と表明。一方で、「金融シス テム不安や財政の持続可能性に対する疑念が起こると、長期金利が実勢 を離れて上昇する」と述べた。

その上で「財政の持続可能性を高めるような努力を政府にしてもら うとともに、金融システムの安定については金融庁と連携し、安定に努 めたい。そうしたことにより、不適切な長期金利の上昇により経済にマ イナスの影響が及ぶのを避けることができる」と語った。

岩田規久男副総裁は2年で物価安定目標の2%を達成できなかった 場合の責任の取り方について、あらためて「最高の責任の取り方は辞 職」との考えを示した。また、物価安定目標を変える可能性に関して 「絶対に変えないというわけではないが、5年でそうなるような局面は あまりないだろう」と述べた。

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