米債務問題で下院議長の危機感緩む-家計改善が国債売り抑制

米債券市場はなかなか弱気相場の様 相を呈さない。米国民は住宅や自動車などの購入に伴う借り入れの50倍 のペースで貯蓄しているからだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)のデータを基にしたFTNファイ ナンシャルの試算によれば、米国の家計にある銀行預金と貯蓄債券、債 券投資信託、地方債の総額は昨年5000億ドル(約47兆円)増加し、2007 年以降で最大の伸びに匹敵する水準となった。一方、これまでよりも低 い経済成長率の中、家計の純債務は100億ドル増と05年以来最小の伸び にとどまった。

FTNのストラテジストによれば、13年に入っても消費者のこうし た傾向は続いており、08年以降に年平均でプラス6.3%のリターンを上 げてきた米国債やその他債券資産の大量売りを抑える一因となってい る。米議会が1兆ドルを超える過去最大の財政赤字の削減方法について 議論を進めているにもかかわらず、米国は差し迫った債務危機に直面し ていないとオバマ米大統領やベイナー下院議長ら政治家が発言する理由 はここにある。

FTNの債券ストラテジスト、ジム・ボーゲル氏は3月21日の電話 インタビューで「経済はセカンドギアで走行している」と指摘。「しか し、レバレッジは依然としてニュートラルだ。米経済成長がサードギア に入るには多くのことが良い方向に向かう必要がある。投資家は依然と して債券にコミットし続けている」と付け加えた。

FTNが12年初めに示した10年物米国債利回り予想は2.1%で、ブ ルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査の予想中央値(2.5%)を 下回っていた。昨年末の利回りは1.76%で、同社の予想は市場のコンセ ンサスほど弱気ではなく、より精度が高かった。

資金避難の需要

米国債相場は過去5週間で4週上昇した。先週はキプロス銀行危機 の回避に向けた取り組みを受け安全資産の需要が増加したことや、金融 緩和の縮小を検討するには労働市場の一層の改善が必要とのバーナンキ FRB議長の発言で値上がりした。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、10年物米国債利回 りは先週、6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し1.93% で終了。日本時間25日午後1時15分時点では1.96%。

米国の連邦債務が16兆7000億ドルに達しているものの、米国債への 記録的需要で政府の資金繰りは助けられている。11年10月-12年9月の 会計年度の利払い費は3598億ドルと05年以来最低で、国内総生産 (GDP)比は1.4%と、レーガン大統領がホワイトハウスを去っ た1989年の水準の半分未満。

ベイナー下院議長は今月17日にABC放送の番組「ジス・ウィー ク」で「われわれには差し迫った債務危機はない。だが、危機が忍び寄 ってきていることは皆、承知だ」と指摘。「1つの危機が忍び寄ってい る。政府の給付金制度が現在の形では持続不可能であるためだ」と述べ た。

--取材協力:Jody Shenn.

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