【今週の債券】長期金利0.5%台の下限探る、緩和強化観測や需給良好で

今週の債券市場で長期金利は0.5% 台の下限を探る展開が予想されている。日本銀行が新体制下で金融緩和 を強化するとの観測に加え、需給環境の良好さを背景に金利に低下圧力 が掛かりやすいためだ。

長期金利の指標となる新発10年物の国債利回りについて、ブルーム バーグ・ニュースが前週末に市場参加者4人から聞いた今週の予想レン ジは、全体で0.50%-0.63%となった。予想の下限0.50%は、2003年6 月18日の0.48%以来の低水準となる。前週末終値は0.555%。

前週に日銀の黒田東彦総裁、岩田規久男、中曽宏両副総裁による新 体制がスタートした。黒田総裁は21日の就任会見で、利回り曲線全体の 引き下げなどを通じ、量的・質的両面から大胆な金融緩和を進めること により、2%の物価安定目標を達成できると確信していると述べた。30 年債利回りが10年8月以来の水準に低下するなど、超長期ゾーンの低下 が大きくなり、長期金利は10年ぶり低水準に達した

26日には衆院財務金融委員会が黒田総裁らを呼び、毎年2回国会に 提出している日銀報告の説明と金融政策に関する質疑を行う予定。具体 的な緩和手法に言及するかが注目されている。野村証券の松沢中チーフ ストラテジストは、黒田総裁の就任会見から、市場では日銀券ルールの 撤廃、基金オペと輪番オペの統合が早晩提案されることを読み取り、超 長期債主導で金利低下が進んだと指摘。「国債買い入れを増やす段階な ので、リスクオンで資金流出が進むのでなければ、相場は強くなりやす い」とみる。

月末に向けて年金基金などの投資家が保有債券の年限を長期化する 買い需要が見込まれており、需給環境は良好だ。みずほ証券の三浦哲也 チーフ債券ストラテジストは、「足元の債券需給は、黒田日銀の一手を 確認するまでは少なくとも悪化することは考えにくい」とし、金利は低 下方向との見方を示した。ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジス トも「期末なので入れ替えは難しく、今週いっぱいは売りが出ないの で、相場は下がりにくい展開」と話した。

2年債入札

財務省は28日に2年利付国債の価格競争入札を実施する。表面利率 (クーポン)は前回債と同水準の0.1%となる見込み。発行額は前回債 より2000億円増額の2兆9000億円程度。

前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先 物は6月物、10年国債利回りは328回債。

◎パインブリッジ・インベストメンツの松川忠債券運用部長

先物6月物145円30銭-146円20銭

10年国債利回り=0.50%-0.60%

「日銀の臨時決定会合があるかどうかが焦点。資産買い入れ等基金 と輪番オペを統合する案が浮上しており、基金の買い入れ対象1-3年 の枠が取り払われて長い年限を買っていく可能性がある。月末で保有債 券の年限長期化の買いも見込まれ、強い基調が続くのではないか。来年 度ポートフォリオの構築など買わなければいけない投資家がいる」

◎マスミューチュアル生命運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長

先物6月物145円50銭-146円00銭

10年国債利回り=0.525%-0.575%

「堅調な相場の流れは変わらない。超長期債は買われ過ぎとみてい るが、水準に関係なく買いが入っており、まだ買い遅れている感じがあ る。年度内に買わないといけない投資家がいるうちは調整局面はなく、 買い上がるしかない。日銀が臨時会合を開催しなくても、4月初めの定 例会合までは売りづらいだろう」

◎大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥債券運用部長

先物6月物145円30銭-146円00銭

10年国債利回り=0.52%-0.60%

「日銀が量的にも質的に金融緩和を強化する前の段階で、債券売り のインセンティブがにわかに強まる材料は見当たらない。2003年は金利 が底打ちした後に急騰したが、需給面からは当時のようなボラティリテ ィー上昇の懸念は強まっていない。月末の年限長期化で超長期ゾーンが 買われるようだと、長期金利は0.5%台前半が視野に入ってくる」

◎三井住友海上あいおい生命保険経理財務部の堀川真一部長

先物6月物145円20銭-146円00銭

10年国債利回り=0.55%-0.63%

「年度末を迎えて投資家は動けない状況。日銀が金融政策決定会合 を前倒しで開催しなければ、様子見姿勢ではないか。株価が上昇しても 下がっても債券は買われている。2年債入札は、日銀のオペ対象年限な ので、問題なく消化される見通し。増発も関係ないだろう。経済指標は あまり材料視されないと思う」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎 Editors: 山中英典, 崎浜秀磨

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