円安でもM&A意欲止まらず、日本企業は海外展開で成長狙う

昨年末に円相場が対ドルで下げ幅を 拡大する中、オリックスの宮内義彦会長兼最高経営責任者(CEO)は オランダの資産運用会社ロベコグループの買収に突き進んでいた。円安 の影響で買収額が上昇していたにもかかわらず意に介さなかった。

オリックスは2月19日、ロベコを2402億円で買収すると発表。円安 進行で買収額は当初の想定を20%程度上回ったが、宮内会長にとって円 安は何の障害にもならなかった。同会長は円安でも一層の企業買収に意 欲を示した。

宮内会長は3月11日のインタビューで、「ロベコの案件もかなり時 間がかかり、話を始めた時はユーロも1ユーロ=100円ちょっとだっ た。今120円台でやめるかというと、買収価格は2割増えたものの、利 益も2割増えた。だからうれしいのか悲しいのかわからないが、それが 決定的な要素にはならない」と説明。「ユーロが125円から130円になっ てもどうということはない。今の水準をベースに考えればプラスマイナ ス15%~20%という動きはしょうがないということでしょう」と語っ た。

同会長の発言は、買収コスト増にもかかわらず、国内で成長シナリ オを描きにくい日本企業のトップが、海外での買収にいかに前向きに挑 んでいるかを表している。円は通貨バスケットに対して昨年6月以 降22%下落した。ファーストリテイリング、三菱UFJフィナンシャル グループやNTTドコモなど国内各社は、海外での買収に積極的なだけ に、昨年1070億ドル(約10兆2400億円)と過去最高を記録した海外企業 買収の流れが近くピークに達することはなさそうだ。

今回の円安局面が始まった昨年9月13日以降、日本企業による海外 企業買収は、発表ベースで計580億ドルに上る。ソフトバンクは米スプ リント・ネクステルを200億ドルで買収すると発表。ブルームバーグが 集計したデータによれば、同案件はそれまでの半年間の買収額合計を 約30%上回る規模。

投資家は気にせず

買収価格の上昇は、円高によって割安に買収できた数年前に比べて 企業に過剰な資金負担を強いているのではないかとの疑問も浮上す る。11年に第2次大戦以後の最高値となる1ドル=75円35銭に上昇した 円相場は、今月12日に96円71銭と11年8月以来の安値を付けた。自民党 の安倍晋三総裁が昨年12月16日の総選挙で勝利して以来、円安が加速し ている。

しかし、これまでのところ投資家は懸念している様子はない。オリ ックスの株価はロベコ買収を発表して以来12%値上がりし、上昇率は TOPIXを上回る。ソフトバンク株も昨年10月にスプリント買収が明 らかになって以後66%上げている。

三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、円安 でも買収を通じて海外で利益獲得を目指すことは日本企業にとって極め て重要だと指摘。ただ、対ドルで120円に下落すれば買収活動も弱まる 可能性があると語った。

原題:Yen’s Dive Fails to Slow Japan Corporate Takeovers: Currencies(抜粋)

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