【日本株週間展望】政策期待で反発、欧州懸念や配当落ち消化

3月第4週(25-29日)の日本株は 反発しそうだ。日本銀行の新執行部が近く打ち出す政策、米国を中心と した世界的な景気持ち直しへの期待が根強く、海外投資家の買い意欲は 衰えそうにない。欧州の債務問題が再燃するとの懸念や配当権利落ちな どによるマイナスの影響をこなすとみられる。

メッツラー・アセット・マネジメント顧問の小林光之氏は、ユーロ 問題がくすぶる中、投資家がもろ手を挙げ買いに回る状況ではないもの の、「日本はアベノミクスを始めたからには後がなく、成功させなけれ ばならない。政策に対する期待値が依然高く、株価上昇の流れは止まら ない」と見る。

第3週のTOPIXは前週末比1.2%安の1038.87で終え、5週ぶり に下げた。ユーロ圏のキプロスに対する金融支援をめぐる不透明感が急 きょ浮上したことが嫌気された。

日経平均株価は、米証券リーマン・ブラザーズ破綻直前の水準を今 月8日にようやく上回った。一方、米ダウ工業株30種平均や独DAX指 数、英FTSE100指数は2010年に同水準を既に回復しており、メッツ ラーの小林氏は「世界での相対評価で見ると、日本株はまだ出遅れ感が ある」と指摘。当面は、TOPIXのリーマン・ショック直前水準 (1177.20、08年9月12日終値ベース)の回復を目指す強い展開が見込 まれる、と言う。

日銀では黒田東彦総裁、岩田規久男、中曽宏両副総裁が20日に就任 し、新体制が始動した。黒田総裁は21日の就任会見で、物価上昇率2% の目標について「達成すべきであるし、達成できると確信している」と 発言。可能な限りあらゆる手段を講じていく決意を示し、目標達成の期 間については「2年程度で達成できれば非常に好ましい」と語った。

日銀会合の前倒し観測、米統計注視

市場では、日銀が4月3-4日に予定する金融政策決定会合を前倒 しで実施し、追加金融緩和に踏み切るとの観測も出ている。黒田総裁は 会見で、決定会合の前に臨時会合を開くかどうかについて、「私から特 に申し上げるべきではない」と述べるにとどめた。

海外に目を向ければ、米連邦準備制度理事会(FRB)は19-20日 の連邦公開市場委員会(FOMC)で、従来からの量的金融緩和の継続 方針を確認する一方、経済と雇用市場については改善している、との認 識を示した。また、英HSBCホールディングスとマークイット・エコ ノミクスが21日に発表した中国の3月の製造業購買担当者指数( PMI)速報値は51.7と、エコノミストの予想中央値50.8を上回った。 同指数は、50を超えると製造業活動の拡大を示す。

第4週のスケジュールとしては、米国で25日に2月のシカゴ連銀全 米活動指数、26日に2月の新築住宅販売件数や耐久財受注、29日に2月 の個人所得・支出など経済指標の発表が相次ぐ。第3週に発表された住 宅着工許可件数や中古住宅販売といった住宅関連統計はそろって良好だ った。この流れを引き継ぎ、新築住宅販売などで米住宅市場の回復が一 段と鮮明化すれば、投資家のリスク許容度は上向き、米国株高を通じ日 本株にも好影響が及びそうだ。

海外勢買い継続、キプロスは予断許さず

株式需給面では、市場全体の売買代金シェアで過半を占める海外勢 からの資金流入が引き続き見込まれる。東京証券取引所の直近データに よれば、海外投資家は3月2週まで18週連続で日本株を買い越した。ゴ ールドマン・サックス証券の集計では、EAFE(北米を除く先進国) 連動型ファンドによる日本株の平均組み入れ比率は1月末時点で16.9% と、なお2.8ポイントのアンダーウエート・ギャップがあり、同証のチ ーフ日本株ストラテジストであるキャシー・松井氏は、ギャップ解消な ら、「予想されるEAFE連動型ファンドからの資金流入は約4兆円に 達する」と分析している。

一方、地中海の小国、キプロスの銀行預金に対する課税構想に端を 発した欧州での混乱が収拾つかない場合には、投資家の間で弱気心理が 広がり、売りが増えるのは必至だ。イタリアでも総選挙後に政局混迷が 深まっており、欧州情勢からは引き続き目が離せない。

配当落ちは日経平均で89円

26日は、3月期決算企業の期末の権利付き最終売買日を迎える。 翌27日以降は、配当や株主優待を取得する権利を得た投資家の売りが株 価の押し下げ要因として警戒される。ブルームバーグ・データによる と、権利落ちが日経平均に与える影響は約89円。配当落ち日以降、早急 に当該下落分を埋めることができない場合は、相場の上値が重くなる可 能性もある。もっとも、SMBC日興証券株式調査部の西広市部長は、 相場の先高観を背景に、「TOPIXをベンチマークに置く機関投資家 などが配当落ち分を再投資する動きもありそう」と指摘する。

現状の主要株価指数の水準は、昨年3月の月中平均(日経平均 で9962円、TOPIX850)を大きく上回っている。3月期末週を迎 え、西氏は「損益改善を絵に描いた餅にしたくないという心理が働き、 利益確定などの売りは出る」とした一方、「下値での買い意欲が強い投 資家は多く、高値圏で消化される可能性が高い」と予想した。

--取材協力:日高正裕.下土井京子 Editor: 院去信太郎

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