黒田日銀総裁:物価目標の達成まで「可能な限りあらゆる手段講じる」

日本銀行の黒田東彦総裁は21日夜、 就任会見を行い、物価上昇率2%の目標について「達成すべきである し、達成できると確信している」と述べるとともに、「達成できるまで 可能な限りあらゆる手段を講じていく」との決意を示した。目標達成の 期間については「2年程度で達成できれば非常に好ましい」と述べた。

4月3、4日の金融政策決定会合の前に、臨時会合を開くかどうか に関しては「もちろん、事情に応じて臨時会合も過去に開かれたことも あるし、不可能ではないが、いずれにせよ、臨時会合があるかないかを 私から特に申し上げるべきではない」と語った。

総裁は「できることは何でもやるというスタンスで、目標の実現に 向かって最大限の努力をすることが日銀にとっての使命だ」と言 明。2014年から開始するとしている期限を定めない資産の購入について 「前倒しであろうと何であろうと、必要なことは何でもやる」と述べ た。また、不動産投資信託(J-REIT)を含め、「さまざまな金融 資産の購入についても「十分議論すべきだ」と語った。もっとも、具体 的な政策の中身は「政策委員会で議論して決める」と述べるにとどめ た。

2%の物価安定目標の達成期限に関しては「できるだけ早期に実現 するということに尽きる」と指摘。「各国の状況を見ると、2年程度を 目標達成に向けての一種のタイムスパインと考えている中央銀行が多い ようなので、そういうことも十分勘案して、2年程度で達成できれば非 常に好ましいと思っている」と語った。

分かりやすさが重要

手段では「さらに量的ならびに質的な緩和を進めることに尽きる 「と表明。「量的な緩和が不可欠であることは事実だが、単にマネタリ ーベースを増やすことにとどまらず、資産側でイールドカーブ全体とし ての引き下げや、必要に応じてリスクプレミアムの引き下げを通じて、 量的・質的両面から大胆な金融緩和を進めることによって、2%の物価 安定目標は達成すべきであるし、達成できると確信している」と述べ た。

さらに、「日銀はいろいろなことをやってきたが、非常に分かりに くくなっている」と指摘。「もっと端的に、バランスシートの負債側と 資産側でどういう動きになっているか、それをどういう方向に向けよう としているのかが分かるような金融政策を運営することが、市場との対 話を強化する上でも重要だ」と語った。

同席した岩田規久男副総裁は「2%のインフレ目標をいつごろまで に責任をもって日銀が達成するということにコミットすることが非常に 大事だ」と言明。達成の期限については「やはり2年ぐらいで責任をも って達成するとコミットしていく。それができなかった場合、自分たち のせいではないと、あまり言い訳しないという立場だ。そういう立場に 立たないと、市場が金融政策を信用しない」と述べた。

最高の責任の取り方は辞任

岩田副総裁は具体的な手段については「黒田総裁がおっしゃった量 的、質的緩和を進めていく。政策金利はほとんどゼロなので、量的緩和 しかない。量的緩和を質的なところまで含めて、これから政策委員やス タッフと議論しながら、しっかりと2年後ぐらいまでにはインフレ目標 を達成できるように全力を尽くしたい」と語った。

また、2年で目標を達成できなかった場合の責任の取り方では「ま ず果たすべきは説明責任だが、その説明責任を果たせない、単なる自分 のミスジャッジだったということであれば、最高の責任の取り方は辞任 だと思っている」と述べた。

中曽宏副総裁は同じ会見で「全職員一丸となって黒田総裁を支え、 全身全霊を傾けて職務にまい進したい」と言明。また、「今日生きる世 代だけでなく、明日の世代の国民のために安定した経済社会を構築する という揺るぎない信念と、折れない心を持っていきたい」と語った。

財政規律は政府、国会の責任

一方、黒田総裁は大量の長期国債の買い入れが財政ファイナンスに つながるのではないか、との質問に対し、「自主的に金融政策の手段と して市場から買い上げるということは、中央銀行として当然のことで、 特別に財政ファイナンスということにはならない」と言明。「財政規律 はあくまで、政府、国会の責任だ」と語った。

日銀が長期国債の買い入れについて、保有残高が日銀券発行残高を 上回らない範囲にとどめる、いわゆる「日銀券ルール」を定めているこ とに関しては「日銀券ルールのようなものがないと、財政ファイナンス になるとか、その懸念があるということはない」と表明。金融緩和の出 口戦略については「日本は足元でまだ消費者物価は下落しているので、 出口戦略をうんぬんするのはやや時期尚早だ」と述べた。

金融政策と為替相場との関係については「為替レートに金融政策が 影響することは事実だ。他の事情が一定であれば、金融緩和した時に為 替レートが下落する傾向がある」としながらも、「金融政策は為替レー トをターゲットにしているものでは全くない」と語った。

その一方で、「為替レートの動きはさまざまな要因によって影響さ れるので、それだけを頼りにしてデフレ脱却をするとか、しないという のは適切ではないと思うが、確かに、現時点でデフレ脱却に円高修正が 貢献するかしないかと言えば、それは貢献する」と述べた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE