【コラム】JPモルガン崩壊せず、鯨めぐり経営陣格下げでも

米銀JPモルガン・チェースのいわ ゆる「ロンドンの鯨」の取引について先週公表された米上院常設調査小 委員会の約300ページの報告書と600ページ近い添付資料からは、掘り出 すべきニュースの種がまだたくさんある。その一つが連邦政府の監督当 局がJPモルガンの経営陣の評価を引き下げたことだ。それにもかかわ らず、誰もパニックに陥らないのはなぜか。

報告書によれば、米通貨監督庁(OCC)は2012年7月にJPモル ガンの経営陣について「チーフ・インベストメント・オフィス (CIO)の甘い統治と監視」および「その他の監視の不備」を指摘し 「格下げ」した。報告書はJPモルガンの経営陣に宛てたOCCの書簡 を引用している。

経営陣の能力はOCCが銀行の安全性・健全性の監視に利用する 「キャメルス(CAMELS)」という格付けシステムの6つの要素の 一つだ。CAMELSはcapital adequacy(資本の適正度)、asset quality(資産の質)、management effectiveness(経営陣の能 力)、earnings(収益)、liquidity(流動性)、sensitivity to market risk(市場リスクへの敏感性)の頭文字。

上院の報告書はJPモルガンの経営陣の格付けを示さず、ただ引き 下げられたことだけを記していた。同行のCAMELS全体のスコアも 示されていない。この格付けは1が最良で5が最悪。

秘密主義

銀行監督当局はCAMELS格付けに関する情報を長く機密扱いと し、この情報やその他、銀行検査報告に関する非公開の内容の開示は刑 事訴追の対象になるとしてきた。幸い、議会の調査委員らは別らしい。 ともかく、一般大衆はそのような知識をうまく扱えず、情報が漏えいす れば銀行が多大な被害を受けかねないという議論だ。

しかし上院委員会はOCCの格下げを明らかにし、この秘密主義の 無意味さが浮き彫りになった。JPモルガンは崩壊しなかったし、大衆 もパニックに陥らなかった。預金流出も起こらなかった。むしろ、われ われは少し物知りになった。

銀行検査による格付けの情報は、レストランの格付けと同様に公開 されるべきだ。銀行への市民の信頼を回復したいなら、当局はまず市民 を信頼するところから始めてはどうか。 (ジョナサン・ワイル)

(ジョナサン・ワイル氏はブルームバーグ・ビューのコラムニスト です。コラムの内容は同氏自身の見解です)

原題:Don’t Panic After Reading This JPMorgan Whale Story(抜 粋)

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