円相場の「実力」、リーマンショック前まで下落-黒田日銀の緩和期待

主要通貨に対する円の総合的な実力 は、円への急速な資金流入を招いた2008年9月の米証券リーマン・ブラ ザーズ・ホールディングス破たん前の水準に下落している。日本銀行の 総裁に昨日就任した黒田東彦氏が安倍晋三首相の主張する「大胆な」金 融緩和を推進するとの観測が下落基調の背景だ。

日銀が21日発表した2月の実質実効為替レート(2010年=100) は83.06と08年8月以来の低水準を記録した。リーマンショックから4 カ月後の09年1月に4年ぶりの水準となる106.57まで上昇した後も高止 まりしていたが、欧州債務危機に対する安全網が整備された昨秋以降、 日銀の金融緩和強化への期待も加わって急落した。世界的な金融危機が 発生する前の07年7月に付けた1982年11月以来の安値79.36まで5%未 満に近づいている。

名目実効為替レートが59カ国・44通貨(11年12月時点)を対象に算 出したものとなっている一方、実質実効為替レートは内外の物価上昇率 の格差も考慮した指数となっている。下落は通貨価値の低下を示す。他 国との相対的な購買力が変わらなければ、インフレ率が他国より低い日 本の円は、名目ベースでは内外物価格差の分だけ上昇しないと釣り合わ ない計算になる。このため、名目実効為替レートはまだリーマンショッ ク前より高く、しかも長期的に上昇傾向にある。

日銀は1月、安倍首相が求める2%の物価目標を導入。政府との共 同文書を発表し、14年初めからの無期限の資産買い入れも決めた。金融 緩和の主力手段である資産買い入れ等基金で購入する国債の対象年限を 現在の「3年以下」から長期化する検討にも入った。白川方明総裁と2 人の副総裁は19日退任。積極的な金融緩和による物価押し上げ(リフ レ)派の論客である経済学者の岩田規久男氏と日銀出身の中曽宏氏が副 総裁に就任した。

円の対ドル相場は12日、1ドル=96円71銭と09年8月以来の安値を 付けた。戦後最高値は11年10月に記録した75円35銭。昨年11月半ばまで は80円より円高の水準だった。日経平均株価は21日、輸出企業の収益向 上などへの期待から上昇し、リーマンショック直前の水準を更新した。

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