円がほぼ全面高、黒田日銀総裁の就任会見控え対ドル95円後半

東京外国為替市場では、円がほぼ全 面高。ドル・円相場は午後に入り一時1ドル=95円67銭まで円が買われ る場面があった。

午後3時47分現在のドル・円は95円73銭近辺。午前8時50分に発表 された2月の日本の貿易収支が事前予想を下回る赤字額となったのを背 景に円買いが目立ち始めた。日中にかけては95円台後半でもみ合ってい たが、午後の取引が進むにつれて再び円買い圧力が強まった。

市場関係者は、午後6時から開かれる日本銀行の黒田東彦新総裁と 岩田規久男、中曽宏両新副総裁の就任記者会見に注目している。

外為どっとコム総合研究所のジュルベズ久美子研究員は「会見で市 場の期待に応えられるか見極めたい。就任会見で、次回会合での緩和期 待を持ち続ける内容の話をすれば、円安基調が続くだろう。一方、前評 判ほど大きな緩和にならないと判断すれば、期待が剥落して円高に振れ る可能性もある」と述べていた。

朝方のドル・円は前日のニューヨーク時間遅くの取引の流れを引き 継ぎ96円台前半で推移したが、貿易収支の発表を受けて95円台後半に円 が水準を切り上げた。ユーロ・円相場は同時刻現在、1ユーロ=123 円81銭付近。一時は123円76銭まで円が買われた。ユーロ・ドル相場は 1ユーロ=1.2934ドル付近。

楽天証券の相馬勉債券事業部長は、相場の動きについて、「多少、 貿易統計が効いているものの、赤字基調は続いている。貿易収支の基調 はそれほど良くはない」と指摘した。

貿易統計

財務省が発表した貿易統計速報(通関ベース)によると、2月の貿 易収支(原数値)は7775億円の赤字。ブルームバーグ・ニュースのエコ ノミスト調査による予想中央値は8559億円の赤字だった。

みずほ信託銀行の中野貴比呂シニアストラテジストは、貿易統計の 発表ごろから相場が円高に転じたことについて、「市場の予測よりは若 干赤字幅が小さかったので、そのあたりに反応したのではないか」と指 摘。「先行き景気回復すれば徐々に新体制でさらに追加緩和が出てくる ので、そこでさらに円安に振れる可能性はある。ただ、100円ぐらいが 当面のめどになるかなと思っている」と述べた。

日本が春分の日で祝日だった20日の為替市場では、キプロスへの救 済計画に端を発した欧州債務危機の再発懸念が後退したほか、米連邦準 備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長の米経済に対する発言などを 背景に、円が主要通貨に対して売られる展開となった。ドル・円は94円 台から96円台へと円安が進行した。

三菱東京UFJ銀行米州金融市場部マーケティンググループのマネ ジングディレクター、村尾典昭氏(ニューヨーク在勤)は、バーナンキ FRB議長の会見後の相場の動きについて、「850億ドルという金額そ のものはもしかするともう少し早めに少し金額を減らすかもしれないと いうことで、米国の長期金利も上昇に転じて、対円、対ユーロでドル買 いに転じてきたのかなと、そういう解釈をしている」と述べた。

バーナンキ議長

バーナンキ議長は20日の記者会見で、「米経済に関する楽観論が高 まっており」、「収入に占める利益の割合が上昇傾向にある」ため、株 価上昇は驚きではないとの認識を示した。米連邦公開市場委員会( FOMC)は同日発表した声明で、景気浮揚に向け毎月850億ドルの債 券購入を継続する方針を示した。

先進10カ国の通貨で構成するブルームバーグ相関・加重通貨指数で は、円は過去3カ月で10%台の下落率と、最も売られた通貨となってい る。過去6カ月では18%近く安くなっている。

--取材協力:大塚美佳、小宮弘子、Kevin Buckland. Editors: 青木 勝, 山中英典

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