日本発の「ライン」、米攻略狙う-目指せフェイスブック

携帯電話などで無料のチャットや通 話ができる日本発の交流サービス「LINE(ライン)」が、米国進出 に本腰を入れる。収益よりも投資を先行させて顧客獲得を進め、世界最 大の交流サービスのフェイスブックや、ツイッターに挑む考えだ。

「今年は北米を攻略したい」。ライン運営会社NHNジャパン(東 京)の舛田淳執行役員は14日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビ ューで語った。現地法人を作ってマーケティングの部隊を置き、米国で の売り込みや現地企業との提携、コンテンツ(情報の内容)調達を積極 化すると述べた。

さらに「黒字化にはこだわっていない」として、各国の拠点や広告 への投資を優先すると説明。「世界サービスになることを目標に、1秒 でも早くやっていく」と強調した。2、3年以内に利用者数が「ツイッ ターやフェイスブックのような5億や10億のサービス」を目指すとして いる。

ラインはアジア発のサービスの一つで、9日時点で1億2000万人の 利用者がいる。うち日本が4500万人、タイと台湾が各1500万人。アジア からは同種のサービスが相次いで生まれ、韓国のカカオトークは8200万 人超、中国のウィーチャットは3億人の利用者がいる。

NHNジャパンによると、ライン利用者は2011年6月のサービス開 始から19カ月で1億人に到達した。ツイッターの49カ月、フェイスブッ クの54カ月を大幅に上回るペースだ。親会社である韓国のNHNの株価 は11年6月1日から現在までに4割上昇している。

スペインで利用者増

ドンブ証券のパク・テ・オ氏(ソウル在勤)は、NHNが「欧米の ニッチな市場を切り開こうとしている」と指摘。フェイスブックやツイ ッターが強い欧米市場での急成長は難しいものの、「重要な2番手の選 手」になろうとしている、と述べている。

NHNジャパンは日本や台湾、タイ以外の利用者を非公開としてい る。しかし、舛田氏によると最近はスペインでの1日の新規利用者数が 日本を上回っている。これに伴い南米のスペイン語圏の国でも利用者が 増加し始めたという。

フェイスブックのホームページによると、同社の月間利用者は昨 年12月時点で10億人超で、うち82%が米とカナダ以外。一方、仏調査会 社セミオキャストの発表によると、ツイッターの利用者は同6月時点で 5億件を超え、うち1.4億件が米国内だった。

舛田氏によればラインやカカオトークといったアジア発のサービス は、知人間の意思疎通が主目的となっている場合が多い。フェイスブッ クなど欧米発のサービスが、開かれた世界での人脈づくりを主眼として いることとは対照的だ。

上場は選択肢

NHNジャパンは2月6日、ゲーム事業を分離した上で社名をサー ビスと同じ「LINE」に変更する、と発表。韓国のオンライン新聞E デーリは、投資家説明会に出席した幹部の発言として翌7日、NHNが 分離後の新会社の日本上場を検討していると報道した。舛田氏は上場に ついて「さまざまな選択肢がある」と述べるにとどめた。

サムスン証券のアナリスト、ジェイ・パク氏(ソウル在勤)は2 月25日付リポートでラインの価値をフェイスブック時価総額の約11% の7.9兆ウォン(約6800億円)と試算。NHNが今年、ラインのマーケ ティング費として昨年の2倍超の2500億ウォン(約215億円)を使う見 込みだとしながらも、費用増は「市場開拓には不可欠」とコメントして いる。ライン利用者が来年末に3億人を超えるとの予測も示した。

ラインではチャットの際、「スタンプ」と呼ばれるアニメのキャラ クターや絵文字を送って意思表示が可能。NHNジャパンによるとこの サービスは230カ国以上で利用されており、米アップルの携帯電話向け アプリ販売では41カ国で無料総合ランキングの1位を獲得した。

収入源は個人向けの有料スタンプ販売や企業による利用契約、ゲー ムや占いへの課金などだ。舛田氏は、今後は企業のマーケティング手段 として売り込み、収益確保を模索する意向を示した。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、普及を優先 する方針について「悠長なことをやっていては、同じようなサービスが すぐに出てくる」とコメントしている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE